面白かったです。
舞台はピューリタン革命からの王政復古すぐあたりのオックスフォード、4人の手記から読み解く、毒殺事件の謎。
4人の手記だから翻訳者も4人って凝ってる。
事件自体はこう言ってはなんだけど地味なので、真相までに900ページはけっこう辛い。
帯の「クリスティ×薔薇の名前」が読まずにいられない誘い文句なのだけど、「薔薇の名前」の壮麗さには届いてない。でも壮大で堅牢な物語。
最後までがんばったら、読んでよかった! って思える本でした。
登場するのはほぼ実在の人物(微分積分のジョン・ウォリスがめちゃくちゃ嫌なやつ……)で、当時のイングランド政治の混乱ぶり、分断ぶりも伺えます。
殺人事件のミステリというより、信頼できない語り手たちによる多面的な記述で、お互いの矛盾がつぎつぎ明らかに、どんどん複雑になっていくのを楽しむ小説。
それはそれで歴史ミステリといえるけれども。テイの「時の娘」的な。
歴史って面白い(これはフィクションだけど)。スリリングだった~