ポストコロナの資本主義 挑戦される国家・企業・通貨 (日本経済新聞出版) [Kindle]

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  • 元早稲田大学教授の金融の専門家が,コロナとそれにかかる金融政策の是非や提案,意見を論じる本

    ・勤め人という立場は今後さらに厳しくなる.
     ー搾取対象としての中間層あるいはすでに搾取され尽くされた貧困層
     ー国家間の「底辺への競争」の割は企業や富裕層ではなく一般人が食うハメに.
     ーコロナのような富を産まない財政政策には必ず回収が求められる=増税

    ・「底辺への競争」は一時的には収まるかもしれないが,
     それでも根本的には止まらない
    ・貨幣のパワー=国家への依存力. コロナは国家への依存力を高めた
    ・グローバリズム(ヒトモノカネの移動の自由化)万歳の時代に翳り,ブレグジット,トランプ当選,見え始めた中間(ボリューム)層の崩壊への足掻き.
    ・家系=労働力で貨幣を稼ぎ,貨幣を使って生活を賄う経済主体

    ====================

    筆者のコロナ観は「感染者数ではなく人口比死亡者数を軸にする」という主張.コロナ感染の是非は医者のはんだにゃ統計の取り方で変わるが,死亡者は感染者の判断よりかは嘘がつけない.
    そしてそれに基づくと日本は人口比死亡者数は著しく低い.
    (メディアは当然そんなことを言わないことを釘刺す)

    日本の接触確認アプリ,陽性者が出たら自分自身でそれをアプリに入力するらしいー> 嘘の陽性を申告して接触者を混乱させる悪質な意地悪が容易に想像できる.

    日本の接触確認アプリはプライバシーを考慮した作りになっているが,タイコロナの名目でそれが強化された先にあるビッグブラザーの登場を筆者は危惧している.そしてその根本的解決方法にプライバシーに関する情報を本人が真の意味でオーナーになり管理できる技術を掲げている(ブロックチェーン,DIDが想起される)

    ”国家が企業を競わせるのではなく企業が国家を競わせる社会になった”

    コロナ禍で起きていることは政府からの離脱ではなく依存。だから貨幣価値はゼロにならない

    日銀の金融緩和政策にはマクロ経済学的理論を引用して今後の悪いインフレにつながり日銀のBSがどんどんぼろぼろになると批判。

    "巨額の財政出動の後始末、とりわけ将来の税収を生まない財政出動の後始末には新種の地が導入されることが少なくない。2度の対戦を経験した20世紀の欧州では、多くの国が富裕税を導入していた。今回の頃中の後始末にも、1部の国においては富裕税のようなフレームワークが議論されるだろう。"

    財力のある個人や企業を国内に呼び込むための税制あるいは国企業制度をめぐる国家間のせめぎ合いは時に(底辺の競争)とも呼ばれる

    "家系は、成型品の大半を消費税対象業者から衣食住その他に充てる「商品」を購入することに費やし、これまた消費税対象業者である企業に労働と言うなの彼らの「商品」を売り渡すことで維持されている経済主体である"

    グローバリズム万歳の頃は国境がないことが理想,今や適切な壁を設けることが理想
    ー>人類は永遠に無い物ねだりをしているだけなのかもしれない.
    ー>グローバリズム(ヒトモノカネの移動の自由化)ー>「底辺への競争」,ごく一部の圧倒的勝者の誕生,中間層の崩壊,格差拡大

    感染症対策済み安全圏(グリーンエリア)と非安全圏(レッドエリア)での経済活動,交流の格差を予言

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著者プロフィール

早稲田大学大学院経営管理研究科教授
1974 年東京大学経済学部卒業。日本銀行に入行し、主として金融制度全般の企画調整を担当。ニューヨーク駐在員、金融研究所などを経て、1998 年から早稲田大学教授。国際会計基準委員会委員や政府の各種委員会の座長や委員を歴任。

「2020年 『ポストコロナの資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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