トナカイに生かされて シベリアの遊牧民ネネツ (月刊たくさんのふしぎ2020年11月号)
- 福音館書店 (2020年10月2日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 4910159231100
感想・レビュー・書評
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シベリアでトナカイと暮らす遊牧民ネネツ。過酷な地ツンドラを生き抜くには、トナカイは移動手段、衣食住、生活資金、全てにおいて欠かせない存在。人間にとって大切なものは何か考えさせられる。
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すっかり現代文明に侵食された暮らししか知らない私には、ここに出てくる子どもたちの笑顔がとっても輝いて見える。もちろん不自由さもあると思うが、生きることへの満足度が高いように思える。厳しい自然の中で、家畜となったトナカイを飼育しながら、そこから全ての営みを紡いでいく姿に圧倒された。電気や水道などのインフラが整い、何もかもが与えられ過ぎた人間たちが失ったものは大きい。実はとてつもない損失なのかもしれない。
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『草原が大好きダリアちゃん』を読んで
遊牧民ネネツ族に興味を持ち、
こちらも読んでみました。
写真が多く、
より一層暮らしぶりを知ることができて良かったです。
トナカイの解体や、
生の血を飲む姿などのシーンまでもあり、
あまりに詳細すぎて、個人的にはちょっと圧倒されてしまいましたが…
そのくらいリアルな生活を垣間見ることができる写真絵本です。
本当に、すべてがトナカイと共にあり、
トナカイに支えられて生きているネネツの人々。
心からトナカイを大切に想い、愛をかけているのを深く感じます。
厳しい自然を相手に、
生き抜く知恵を携えて暮らす姿は、
あまりにも自分の暮らしとは違いすぎていて、
大変すぎると思ってしまうのだけれど、
「自分は世界で一番幸せ」と話すその言葉の深さ、
生活への愛の深さに、しみじみと感動します。
不自由なく便利な暮らしをしていながらも
満たされないでいたり、不満に思う自らの暮らしを思いながら、
のびやかに生き生きと暮らすネネツ族に
ただただ感服するばかりです。
本当にシンプルで大切なことが
ここから見えるように感じる、そんな景色でした。
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あまりにも価値観や文化が違う。彼らは不便で過酷な環境で娯楽に乏しく思い、正直初めはかわいそうと感じてしまった。ところが彼らは、ツンドラが最高で幸せと言い切っていて、私の狭い価値観では計り知れない世界に生きているのだと驚かされる。
トナカイの皮で作る民族衣装の色鮮やかな柄はどうやっているのか、6歳になったら親元を離れて宿舎で暮らしながら子どもたちはネネツの暮らしをどう感じるのか、夏に帰省するとき遊牧民はどうやって親のいる場所へ辿り着くのか、まだまだ疑問がいっぱいです。
小学校低学年の息子が理解するのはまだ難しいけど、興味を持って聞いていました。
私たちは、便利で娯楽が多い社会に生きているゆえにストレスが多く、それとは真逆の彼らの暮らしは感慨深く衝撃的でした。 -
放牧民の日々の生活が見えてくる。長倉さんの眼差しが素敵なのです。
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シベリアの遊牧民族の暮らしに密着取材した写真絵本。写真がうつくしい。
まずは極地の過酷な気候の中、衣食住すべてにわたってトナカイが活用される伝統的な暮らしぶりにおどろかされる(トナカイの売買を通じて市場に流通している商品や文明の利器も使ってはいるが)。トナカイとともにある自分たちの暮らし方に満足している様子がうらやましいような、しかし都市生活のぬるま湯に慣れきった身でいまさらまねたりそこにとびこんだりするには勇気がいるような…いきものを屠ってそのすべてを自分が生きる助けにするという根本的な行為を生まれたときから目の当たりにし見様見真似で身につけながら育った人びとから見ると、わたしたちの当たり前の暮らしはどうみえるのだろう? 学齢期の子どもは親元を離れて学校生活を送る中でいろいろ思うことがあるのだろうと想像した。
国籍としてはロシア人ということになるのだろうけれど、いざとなったら、はっきりいって国や世界で何がおころうと生活にほとんど影響を被ることなく淡々と生き続けていけそうで(もちろん、旧ソ連やロシアの市民としての苦労もないわけじゃないのだろうけれど)、その自立した強さがうらやましい気もする。 -
「自分は世界で一番幸せ」……シベリアにトナカイと移動しながら生活をする遊牧民「ネネツ」の人たちがくらしています。ひとつの家族で飼うトナカイは1200頭にもなります。トナカイの肉を食べ、トナカイの皮で着るものやテントを作り、トナカイを売ってお金も稼ぐ、ネネツの家族をおいかけた写真絵本です。
読んであげるなら ―
自分で読むなら 小学中学年から
(福音館HP)