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感想・レビュー・書評
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マネジメントにおける経営計画の重要性を学ぶ本です。
「ものごとは計画どおりにいかないので、作る必要はない」と考えておられる経営者の方、「作ってみたがその有効性を感じられない」と思っている経営者の方はおられると思います。
しかし、計画を作ってみないと、経営者が考える、自分たちが進むべき方向性を社員と共有することは難しいですし、計画と結果を比べてみないと、方向性が合っているのかどうかもわからないなど、マネジメントにとっては重要なことなのです。
経営計画を作られていない経営者の方に、加えて、計画は作ったがあまり有効性を感じられない経営者の方にとって、その大事さに気づける1冊です。
加えて、会社の計画をあまり意識したことがない、というビジネスパーソンの方にも、その重要性を知ることができる1冊です。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「計画どおりにいかないのも、経営者の考え方と市場のズレを知るために大事。市場の変化を知ることができる。ズレを知れば、どう立て直すかを考えることができる。計画を立ててみないと、ズレには気づけない。」
→計画は、まず立てることに意義があります。立ててみてはじめて、方向性が合っているかがわかります。ただ、本当に大事なのは、計画は見直しを必ず行い、方向性を修正していくことです。
「目標とは『手に入れたい結果』。それに向かって努力しても、手に入れたかわからないと困る。何を測定し、モノサシは何かをはっきりさせておかないといけない。これが業績の評価につながる。絶対値、特に金額で示せるものは使う。モノサシは複数あるので、目的に応じて使い分けることも必要。」
→方向性が合っているかは、ズレがどれくらいかが具体的にわからないと、正しい修正ができなくなってしまいます。
「中小企業では、賃金が最も高い信頼度で予測できる数字。ここから出発して目標を設定するのが最も賢明な道。上昇する賃金をまかなって会社を存続させるために、どの数字がどうならないかを3~5年間先まで考えると、賃金だけ考えてもダメで、外部・内部の諸条件を分析・合成する必要に気づく。それが、新たな視野から企業を長期的に眺めることになる。」
→経営資源の中で、やはり「ヒト」が最も重要なのだと思います。ヒトがいないと、カネがあっても、十分な情報を集めることも、モノを作ることもできないことがままあるのです。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・生きるための目標を立てる。会社がつぶれては何も実現できない。目標達成に向かって努力すると、不可能に思えることが可能になることがあり、本当の経営の楽しさを享受できる。組織の人間関係を良好にするのが経営ではない。
・計画どおりにいかないのも、経営者の考え方と市場のズレを知るために大事。市場の変化を知ることができる。ズレを知れば、どう立て直すかを考えることができる。計画を立ててみないと、ズレには気づけない。
〇経営不在の目標管理
・経営者の設定した目標は、悩み抜いて決定されたもの。多くの客観的・主観的な制約に対し、どこを譲歩するかを考え抜き、後には引けない線を打ち出している。社員は、ムリに思えても、やり抜くしか会社の生きる道はない。
・企業の目標は、生き残るための条件が基礎となる。企業の目標は、客観情勢にもとづいて設定され、内部事情とは本質的に無関係になる。目標設定とは、客観情勢の変化に対応し、その圧力に耐え、はねかえすための会社の決意を固めることである。
・「改善」「合理化」は、現状調査→改善→新基準と考えがちだが、本当は、目標→現状調査→ギャップをつぶす、という考え方が必要。
〇目標の領域
・目標を1つだけにすると、逃げ道を探してしまい、他の重要なことを犠牲にしてしまう。事業の存続、繁栄に直接かつ重大な影響を与える行為が行われる全ての領域で設定する必要がある。
・①事業の全活動を簡潔な言葉で適確にまとめて表現し、②実際の経験に照らして①の適否を判断し、③事業にとり必要な行動を示し、④決定前にその決定が健全かを評価し、⑤実務に携わる事業家が自己の体験を分析し、不十分な点を見つけ、将来の指針を得る、の5つが目標には必要。
・明文化により、はじめてトップの意志が基本的に誤りなく社内に浸透する。これが最も重要なコミュニケーションであり、明文化なきコミュニケーションは混乱を引き起こす。
・目標とは「手に入れたい結果」。それに向かって努力しても、手に入れたかわからないと困る。何を測定し、モノサシは何かをはっきりさせておかないといけない。これが業績の評価につながる。絶対値、特に金額で示せるものは使う。モノサシは複数あるので、目的に応じて使い分けることも必要。
〇目標設定
・目標の本質は「生き残る条件を明らかにし、それを土台としてトップの意図を上乗せする」こと。企業目標はトップ及びトップ層だけで検討し、決定すべき。他の内部のものの意見を聞くと、「過去の実績から見て実現可能な目標」に傾き、生き残る条件が忘れられてしまう恐れがある。
・目標は、まず長期的なビジョンに立つべき。決定から実際に業績に影響を与えるまで少なくとも2~3年、長いと10年、20年かかる場合もある。将来を見越して早く手を打つべき。調査や根拠に基づき発表される未来像で質的なものを推測し、日本・世界の経済成長率や業界の成長率、物価や賃金の上昇率、人口動態と年齢構成などから量的な推測ができる。
・量的な予測は、必要な売上と利益を少なくとも3~5年先まで立ててみて、過去の実績を延長した場合の資産と比較すると大きな差が出る。この差は、合理化だけでは埋まらない。新たな覚悟を持って、革新に取り組む必要に気づく。不況になった場合の影響も試算しておくべき。
・中小企業では、賃金が最も高い信頼度で予測できる数字。ここから出発して目標を設定するのが最も賢明な道。上昇する賃金をまかなって会社を存続させるために、どの数字がどうならないかを3~5年間先まで考えると、賃金だけ考えてもダメで、外部・内部の諸条件を分析・合成する必要に気づく。それが、新たな視野から企業を長期的に眺めることになる。
〇成果達成指導
・企業は、顧客が何をほしいかを自分の方から知ろうと努めなければならない。顧客は、企業に何を作ってほしいかは教えない。自分が気に入らなければ買わないだけ。何の予告もなしにその会社を見捨てる。一方、知る方法を知らないので、知ることに努力しなければならない。それは営業担当部署だけの問題ではなく、トップがまず自ら反省してみることが必要。
・標準化は、作業に目が行きがちだが、本当に大切なのは「仕事の標準化」。仕事は、他人からバトンタッチを受け、次の人へバトンタッチするまでの、当人の責任において処理すべき、異種作業を統合した一連の業務であり、当人に任された業務単位。さらに重要なのは、「仕事の流れ」の標準化。仕事は部門の間を横に流れる。
・誤りには、意志決定の誤り(=エラー)と、実施の誤り(=ミス)の二種類がある。設計の誤りがエラーで、加工の誤りがミス。エラーは、ある程度までは許さないと、新しい試みを誰もやらなくなる。誤りを犯すことで人間は反省し、向上する。ミスはそのままにせず、正しい結果が出るまでやり直す。
〇チェックなくして目標なし
・定期的なチェックが必要。チェックとチェックの間は結果を任せ、創意工夫する力を高める。
・報告会を設定し、チェックの場とする。報告事項は①目標、②実績、③不達成事項の対策、に限る。不達成の原因は究明しない。不達成の事実は究明しても変わらないので、時間の無駄。目標を達成する方向に焦点を合わせるべき。
〇高収益高賃金経営の目標
・具体的な業績評価を考える。結果を重要視し、手段、過程、努力の度合い、抽象的な能力は考えないこと。それらを持っていて、結果を手に入れることにうまく結びつけば、よい結果が生まれる。
・企業をとりまく外部情勢はますます厳しく、変化は早くなっていく。一方、人件費高騰と人手不足は労務倒産の危機さえはらんでいる。これらをはね返し、存続するための不可欠な基本的姿勢は「高収益高賃金経営」。実現のためには、まずトップの優れたビジョンのもとに、企業の長期的な目標設定が必要。社員は、前向きに、「革新と変化への対応」を基本的態度として、異なった階層・部門の活動を一つに結集する必要がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示