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感想・レビュー・書評
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少年たちの友情と成長を描いた物語。
クリスマス直前のドイツの寄宿学校が舞台。
ユーモアもありながら涙なしには読めない名作。
子どもの頃のかけがえのない時間。
思春期の五人の少年たちが抱える悩みや悲しみ、憧れ。
貧しくも秀才なマルティン。
臆病なウーリ。
ボクサー志望のマッツ。
詩人のジョニー。
クールなセバスティアーン。
子どもだって懸命に生きているんだ。
そこに、二人の素敵な大人「正義さん」と「禁煙さん」を登場させ、著者のケストナーは訴える。
子どもの頃のことを忘れないでほしいと。
そして、訳者のあとがきを読むと当時のドイツの時代背景がうかがえる。
ナチス政権時代。黙ったまま止めなかった者たちの責任を問う、命懸けのメッセージ。
大人になってから読む児童書もいいね。
童心に帰り心が洗われるようだ。
またクリスマス前になったら読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドイツの寄宿学校を舞台にした少年たちの友情や温かい人のつながりを描く。
ケストナーは一度は読んでおきたい、何年も思いつつやっと手に取った今日この頃。題名から「兎の目」的な教育とはなにかを問いかけるような作品を想像していたのですが、全然違いました。前半からけっこう剣呑で、捕虜奪還のために敵基地を奇襲したり、襲撃のために人手を集めたりと、なかなかの凶器準備集合罪な展開でびっくりしました。
でもまあこのくらいなら僕も保育園の頃に画策して襲撃前にバレて先生方にこっぴどく怒られたくらいなのでお年頃の少年たちの話としてはいいのかもしれません。
このエピソードを含めて全編を通じて語られるのが、生徒同士、生徒と先生のとても温かい心の交流で、一方でとても耐えられないような仕打ちや貧困がありながらもそれを温かい人と人のつながりで超えていく、というメッセージがとてもステキで、さすがに名著だと思わされました。でもまあこうした著作は時の政権には不評だったのはわかります。訳はちょっと古そうなので断然読みにくいかもしれません。新訳ってあるのかなあ。
「動物会議」も近いうち読んでみよう。 -
先日読んだ/図書室のはこぶね/で‘主役’となった作品。青春を、そして自由を謳歌する1930年代ドイツの寄宿舎生の姿が生き生きと語られる。周囲で彼らを見守る大人の眼差しがどこまでも温かい。ふと同じドイツの大学が舞台の♪学生王子のセレナードを思い出した。
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所々に入る言葉が古くて、意味が分からない部分があった。
物語の邪魔になるわけではないけれど、頭に物語が入って来ない。ぶつ切りになってしまう。
意味が分からないのに頻繁に出てくる『アホイ』は調べてしまった。
ヨーロッパの挨拶らしい。
何でそのままなのだろう。訳すか、注意書きが欲しいところ。
登場人物は基本5人で多くも少なくもない。最初はちょっと戸惑ったけれど、覚えてしまえば大丈夫だった。
ただ、名前が似てる登場人物がいて、それは何度も確認しながら読んでしまった。
舞台はドイツの寄宿学校。時期はクリスマス前。
内容は……ううーん。何と言えばいいのか。いろんなテーマが詰まっているとは思うし、悪くはないのだけれども。
私が女だからなのか、暴力が好きではないからなのか……。
最初の方のドタバタは、気分が全くのらなかった。よくある(?)男の子達の意地の張り合いみたいな感じ。
殴られたから殴り返そう……っていうの悪くはないんだけど、個人的には好きではない。
その次の、『勇敢でない奴はダメだ』みたいなものも……言っちゃえばただの自己否定で誰にでもある部分。
だから、飛び降りるというのは、理解は出来ても共感できない。
話は悪くないし、テーマも判るのだけれども、所々が『男の子特有の話』に見えてしまって、置いてきぼりにされるというか、共感できないというか。
「なんでそうなる?」と突っ込みたくなるというか。
『飛ぶ教室』はクリスマスの出し物のタイトル。
脚本作って5人で練習して、その間に上記のようないろんな出来事が起きる。最後は素敵なクリスマスのお話しで締めくくられていて、後半は読みやすかった。 -
もう号泣。この物語が素晴らしいのか、僕が涙もろくなり過ぎたのかはわからない。
素直さと、優しさと、賢さを兼ね備えた人間は、年齢を問わず、人間として完成形ではないか。
そして、少しでもそういう人間に近づけるよう、人間は努力し続けなければならないのではないか。
そう思った。