恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす [Kindle]

  • 英治出版
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感想・レビュー・書評

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  • 心理的安全性の提唱者が書いた本。心理的安全性の重要性はGoogleの「プロジェクト・アリストテレス」で有名になり、チームワークに関する様々なビジネス書などで紹介されている。しかしこれまでは又聞きのような形であったのに対し、ついに研究者本人による著書が出たというわけだ。(チームが機能することについての著書は既にあったが)

    なぜ心理的安全性が重要なのか。端的に言えば、組織として素早い正確なフィードバックを行うのに必須だからである。ビジネス書にありがちな文言に「複雑で変化の激しい世界」がある。このような世界で最初から正しい判断を下すのは難しい。情報が限られているならなおさらだ。なので何かアクションを起こしたら結果を素早くフィードバックし、適宜修正していくことが求められる。そのためには情報が素早く正確に伝わらなくてはいけない。だから率直に意見を言い合える心理的安全性が重要なのだ。

    研究者本人が書いているだけあって、変な誤解が生じる余地が少ないのが良い。人々は「心理的安全性」という単語から勝手なイメージを作りがちだが、本来の意味は「率直に意見を言い合える組織風土」である。「心地よさ」や「感じ良さ」とは関係ない。そうやって明確に定義した上で、どのように調査したのか、どのように機能するのかを述べていく。これから心理的安全性について語ろうと思うなら、必読の書と言えるだろう。

  • VUCA
    volatility 不安定性
    uncertainty 不確実性
    complexity 複雑さ
    ambiguity 曖昧さ

    VUCAの時代にこそ、心理的安全性が重要。
    上司の上司がいる場所で、安心して言いたいことが言える場所であるか。
    言うは易し、行うは難しだなぁ。

    自分の部下には、「言いたいことを言って良いよ」と伝えることは出来ても、じゃあそれを自分の上司にも言えるのか?となると話が変わってしまう。

  • ===qte===
    心理的安全性、経営に貢献
    多様な人材で成果実現 学習院大学教授 守島基博
    2022/11/12付日本経済新聞 朝刊
    皆さんの職場では、同僚や先輩、上司などの前で、自分の考えや反対意見などを、自由に言えるだろうか。また正しいと信じる仕事の進め方を提案できるだろうか。そして、皆さんの意見や提案を周りは尊重し、率直におのおのの感想や意見をのべてくれるだろうか。

    多様な提案や意見が出ると、課題解決やイノベーションにつながりやすい 
    イラスト・よしおか じゅんいち
    多様な提案や意見が出ると、課題解決やイノベーションにつながりやすい 
    イラスト・よしおか じゅんいち

    ●自分らしさ発揮

    「心理的安全性」概念の創始者である、ハーバード大学エイミー・C・エドモンドソンは『恐れのない組織』(野津智子訳、英治出版・2021年)で、メンバーが安心してそうした対人的なリスクをとれる時、そのチームには心理的安全性があると主張する。さらに、心理的安全性があるチームは、メンバーが安心して提案などをできるだけではなく、学習がおこり、イノベーションが生み出される可能性が高いというのである。

    類似の考え方は、昔からある程度あったとはいえ、革命的である。なぜならば、メンバーが安心して自由な発言や提案のできる環境が、企業に望ましい結果をもたらすという主張だからである。組織を効率的に運営するために必要だとされてきた「マネジメント」という概念、およびその中核にある管理とかコントロールに対し、最後の一撃を加えたのである。

    さっそくこれに飛びついたのが、グーグル社であった。優秀な人材を集めに集めていた同社では、さらなる成長のために、成果を出すチームの特徴を探すプロジェクトを行っており、そのなかで最も重要な要因として辿(たど)りついたのが、心理的安全性だった。


    このあたりの経緯については、同社のアジア・パシフィック地域で人材開発に携わったピョートル・フェリクス・グジバチの『世界最高のチーム』(朝日新聞出版・18年)に詳しい。本書では、心理的安全性は「自分らしさを発揮しながらチームに参画できるという実感」だと述べられており、そうしたチームにおいて、メンバーは仕事に興味をもち、社会的インパクトのある仕事をすると主張されている。

    ただ、心理的安全性という言葉は、なにか舶来の匂いがする。「翻訳」が必要になるのだが、わが国の企業現場でチームを率いているマネジャーやリーダー向けに、見事にかみ砕いてくれたのが、実務家と研究者との二足のわらじを履く石井遼介の『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター・20年)である。

    ●管理型から転換

    この本は、上司が部下の提案に対し、「それ、ほんとにうまくいくの?」と尋ねる極めて自然な行為や、自分や部下についての「思考」(評価や判断)を現実だと思いこみ、それに基づいた行動(例えば部下へのフィードバック)をストレートにとることが、心理的安全性の観点からはよくないなど、現場マネジャーへのヒント満載の良書である。

    実際、この本を読むと、自分の評価や考えを信じて部下に意見するなど、ここしばらくの間、上司として当然だと教えられてきた行動が、心理的安全性を損なうかもしれないことがわかる。多くの職場で、管理職が従来のマネジメント行動をとり続けるなか、心理的安全性が感じられない現実も理解できよう。


    そして、現在、多くの企業では、多様性(ダイバーシティ)が重要視されているが、それをどう経営成果に結びつけていくかについては、暗中模索である。マシュー・サイド著『多様性の科学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン・21年)は、多様な意見や視点が表に出てくる心理的安全性のある組織は、企業の問題解決やイノベーションが可能になることを主張する。

    異なる人々と接し、なじみのない考え方に触れることには価値があり、そうした価値を実現している企業では「問題や意見の相違が水面下に潜ることなくうまく解決される」のである。

    今世紀初頭に生まれた心理的安全性は、多様性を経営成果に結びつけていくためのいわゆるインクルージョンの基盤なのである。
    ===unqte===

  • 組織運営において参考になること大。

  • すごくよかった
    心理的安全性と仕事の質を両立させた実例をいくつも紹介してくれていることと、みんなが気にしそうな疑問点を解消してくれる説明が提供されているところが良かった
    はげしくおすすめ

  • 心理的安全性Psycological Safetyという言葉を広めた第一人者である著者の本。資本主義を支える重要な共通意識である「信頼」とは、心理的安全性は、組織/チームの内部で共有する点で異なる。
    対人関係に不安があるところでは、意見がトップダウンで決まりがちになる。VUCAな状況つまり正しい答えが良くわからない、あるいは正しい答えが頻繁に変わる、現場が一番対応が可能、という状況では一人一人の意見や見方が重要になり、各人に能力を発揮させそれを組織の決定にも反映させないと組織はうまくいかない。
    代償としては、ある程度の失敗、、率直な意見の衝突は認めないといけない。また上司の役割は、事業の方向性を決める。常に学習し、方向性に磨きをかけ、他の人の貢献を促すようにする。自分の弱さをさらけ出し、相手に関心を示し、サポートを行うことを前面に出す。

    Vucaでは運の要素が強く、良いプロセスが悪い結果を生むこともある。しかし粘り強く数をこなすことで大数の法則が発動する。それまでによいプロセスを棄却すると悪い結果が最後には残るだろう;。

  • ふむ

  • 最近読んだ本の中でも響いた本でした、書名を見たことある方は多いでしょうが、是非一読をお勧めします。 特にマネジャー向けですが、小グループのリーダーにも当てはまるでしょうし、メンバーの視点(どうスピークアップしていくか)も含まれますので、対象は広いと思います。 もちろん、今後リーダーになっていくための視点、とも考えられます。
    著者エドモンドソンの研究で、”医療機関でのミスの数”を調べたところ、「心理的安全性が高い組織の方がミスが多い」調査結果となり、首をかしげたところから始まったとあります。
    逸脱報告などで我々も近い経験があるのではないでしょうか、心理的安全性の低い組織では、ミスやニアミスの報告がされにくい傾向があった、という結果とわかり研究を深めていった、という経緯です。
    SGJでも取り組んでいる、DE&IやLearningとも関連深いことが示されています。 多様性を活かしてイノベーションにつなげるためには、考えを共有できる雰囲気やそこからLearningする風土が大切、とのことで、心理的安全性は土台となるような考えと述べられており、納得感が高いと感じました。 Quality Cultureの4つのmindsetの中にSpeak upも含まれているように、Quality Cultureと通じる部分もあると思いました。 長く書いてしまいましたが、この書籍は現代社会に求められている内容でしょう。

    ・まずは「仕事をフレーミングすること」から始めるべき。
    失敗(の報告)を恐れるのは、心理的安全性が低いことを示す最大のサインである。
    まず行うべき、極めて重要なことは、「現在の仕事をよりよく進めるためには、失敗や不確実性、相互依存が当たり前であり、率直な発言が必要であること」を明確にすること。

    ・イノベーションと多様性
    様々な知識を有するメンバーが協働すると、新しい組み合わせからイノベーションにつながる場合が多い。 しかし、多様性が高ければイノベーションを発見できるとは限らない。 多様性による意見の違いや衝突が起きても、思い切って考えを共有できる雰囲気、心理的安全性が必要不可欠となる。

  • タイトルだけで読む必要なし

  • 未来やたったいまこの瞬間に焦点をあてられる場所を探している。

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著者プロフィール

ハーバード・ビジネススクール教授。リーダーシップ、チーム、組織学習の研究と教育に従事し、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている。彼女の論文は、Harvard Business Review、California Management Review、Administrative Science Quarterly、Academy of Management Journalなどに掲載されている。『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(英治出版)の著者でもある。

「2021年 『恐れのない組織』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エイミー・C・エドモンドソンの作品

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