- Amazon.co.jp ・電子書籍 (258ページ)
感想・レビュー・書評
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作者の村田さんと一歳違いなのだが、この世界の理不尽を描き切ろうとしているような執念を感じる。尊敬する。
村田さんの本では、彼岸を越えるのが正、となっている作品が多い中、彼岸に取り残された主人公が愛おしく感じた。彼岸、越えたいなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生の奈月は、ポハピピンポボピア星からやってきたぬいぐるみのピュート(地球の危機を救うために地球にやってきた)から魔法少女になるよう言われ、その任務にあたっている。この冒頭の設定からして頭がクラクラした。
おまけに、メルヘンな話かと思いきやまったくそうではなく、あえて婉曲に書くと、人間性の限界に挑戦するような思考実験の物語だ。
彼女には、かつての恋人でありいとこの由宇と、形だけ籍を入れて同居している夫・智臣という仲間がいる。彼らもまたポハピピンポボピア星人であり、共通の敵は、地球上で多数を占める「地球星人」だ。つまり私たちのことだ。
忘れられない文はいくつもあるけれどひとつだけ。
「男の入った味噌汁と、男と大根の葉の炒め物と、男を茹でて甘辛醤油で煮たものと、三種類の男料理ができあがった」
ちょっと吐き気を催すと同時に笑ってしまった。まったく初めての体験だった。 -
尖ってる!著者にその意識はあるのか?村田沙耶香さん初読。 性的虐待のシーンで胸糞悪くなった自分にはちゃんとモラルが備わっていると感じだが、魔法少女が魔女の蛹を滅多刺しにしている時、やってしまえと思った自分には狂気を感じた。『工場』とは的を得すぎているなぁと思う私はポハピピンポボビア星人よりかとおもった。ちゃんと3/4くらいは地球星人に洗脳されていて、ギリ社会生活を送っている。 しかし、身近な地球星人たちは酷すぎる。子どもの必死の訴えを粗末にする母含め家族に恵まれなさすぎ。「コンビニ人間」もいつか元気な時に
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グロテスクな描写が多かったどす。現実で起こりうる話というよりsfかホラーに近い。主人公がかなり気持ち悪い人間でした。クレイジー。
作者がどこかで『人間工場』等を軽蔑しているように感じる。かと言って、ボピア星人の暮らし方は優れているとでも言いたいのか?そうとは思えない。ボピア星人たちの暮らし方は野生動物とか獣の暮らし方とあまり変わらないように見える。人間が退化したような感じ。自由なのはいいけど、あまりいいとは思えない。 -
「地球星人」(村田沙耶香)を読んだ。
ああそうだ、村田沙耶香さんて「生命式」の人だった。(順番的には「地球星人」のが先だったのか)
この人はこういう話を書く人だったな。
もはやなんの禁忌も無いのであろう。
今のところ「コンビニ人間」がいちばん好きかな。(まだ三冊しか読んでないのだが) -
メモ
午前2時、眠れなくて少し読もうと思って読み始めたら、気づいたら5時前になっていた。
続きがどうなるのか?気になって、夢中になって頁をめくった。
自分は気づけば普通・当たり前から逸脱しないように生きてきたけど、たまにひょっこり普通に当てはまらない自分が出てくる。自分にとっては普通で、誰かにとっては普通じゃないし、普通であることかもしれない。
自分にとっての普通を、他人に強制する回数を減らしたいな、と読み進めながら思った。
自分なりの「宇宙人の目」が開いた気がした。 -
すぐ読み始められる小説が欲しくて書店に入り、『コンビニ人間』が面白かったのを思い出して、平積みの中から手に取った。
子ども時代の描写が重たく、チョイスを間違えたかと感じたものの、物語が進み「三種類の男料理」あたりまで来る頃には、もうすっかり気分が良くなっていた。この作者の作品を多く読んでいる読者にとっては、これまでの世界観を網羅したような作品という位置づけらしい。なるほど。
この本の一番の収穫はたぶんこれ。「家の中にゴミ箱があると便利だ。私はたぶん、この家のゴミ箱なのだと思う。」間違っても誰かにこういうことを思わせないように暮らさなければ。