老いればどこか悪くなってがんにもなるよね、そして死んでいくよね、という当たり前の「苦」について、自ら末期がんの医師が語る言葉は、軽妙であっても清々しい。傘寿を過ぎた母もがんの再発後、無治療を選択して、大過なく暮らしている。
子供から大人まで死が身近にある社会に2年間住んだことで、死生観・人生観が日本標準からはズレた時期があった。大切な人を失ったのはそんな一因があったのかも。
自らが老化を実感する歳になって、まだ先のことだと思うけれど、お迎えの日が来ることを意識して、じたばたせず、今日をきちんと生きることをまじめに実践できるだろうか。でも、難しいなあ。ついラクな方に流れがち。
「生物はなぜ死ぬのか」で読んだように、細胞も人間も死ぬことがプログラムされている。でないと環境的限界から、次の命(遺伝子)をきちんとコピーして繋げないから。そして繁殖(コピー)が終われば、消え去るようになってる。逆に言えば、やはり繁殖能力があるうちが花、とも言える。年寄りが威張っている今の日本はやっぱりおかしい、衰退して当たり前か。