- Amazon.co.jp ・電子書籍 (555ページ)
感想・レビュー・書評
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戦前あたりからの冤罪事件やその当時の背景や警察の実態を調べてまとめてある。
大雑把にまとめると発端は道徳感情として罪に対する罰を与えるために捕まえるはずだが自分たちの捜査を俯瞰出来ないから冤罪が生じるということらしい。ただそういっていながらも手柄によって貰える利得に走った拷問王と呼ばれた刑事も本書に収められていた。
なるほどと思ったのは冤罪を発生させた刑事や裁判官などのプロファイリングが必要だと言っていた事。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大上段なタイトルに負けないくらい大風呂敷を広げまくった内容で、多くの読者は、読み始めてしばらくすると、なぜ戦前の内務省史が延々と続くのだろうと首をひねるに違いない。後半は、まさにこのタイトルから一般的に想像されるであろう内容に収斂していくのだが、昭和史に興味がないと読み通すのはなかなか厳しいかもしれない。ある程度興味がある人にとっては、ステレオタイプなイメージを次々とひっくり返してくれるのでなかなか爽快でもあった。
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変わった構造の大名著。著者の筆致に載せられ、この遠大なテーマをあっという間に読み進めてはしまったが、もう一度読まないと内容を掴んだとは言えない気がする。ただ、日本人としておかしな刑事によって冤罪者を出した浜松事件と二俣事件の存在は知っておくべきと思う。
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冤罪は何故起きるのか、体裁や効率という自己欺瞞から道徳感情論へと導く文章が時折サスペンス要素も加味されて紡がれていく。誰しもが悪者ではない、という性善説ではなく、誰しもが過ちを犯す、認知バイアス克服の困難さを説いていく。私たちの心には少なからず "偏見" が棲みついている。周囲の様々な声に耳を傾けて "思い込み" から一歩抜け出すことが大切なのだ。現在の権力者に欠けているものが露呈する終章は痛快。