中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平 (講談社学術文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
4.25
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (569ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現在に近いものを語ることの難しさは確かにある。本書は、2004年に単行本として刊行されたものを2021年に文庫化するに際して新たに1章加筆されており、習近平時代と新型コロナの始まりまでは書かれているがロシアのウクライナ侵攻(2022年2月)は当然予測もされていない。

    中華人民共和国は毛沢東ー鄧小平ー習近平というラインで受け継がれる共産党王朝であるという考えはまあ正しいだろう。大澤真幸が「この世界の問い方」で書いていることは、まあ常識的な理解なのだ。

    清帝国→中華民国(孫文・蒋介石)→中華人民共和国(毛沢東・鄧小平・習近平?)、ネーミングはどうあれ、過去にあった王朝の変遷と似ている。それはついには民主化という道を選ぶことができない何かが「中国」にはあるということ。あるいは、その巨大さを維持したまま民主的であることが、そもそも不可能なのかも。

    毛沢東と鄧小平の怪物さに比べたら習近平ってどうなんだろう、何かやったというわけでもなく、権力闘争にのみ秀でているようなイメージ。そういう意味ではプーチンと同じか。

    この先も民主化が起こらず一党独裁が続き、いつの日か北朝鮮のように世襲化したりしているうちに倒れる、というのが歴史の相場だろうが、そのスパンは100年単位かもしれず、私が目にすることはないような気がする。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

早稲田大名誉教授。1947年生まれ。
早稲田大学卒業、一橋大学大学院博士課程修了。社会学博士。外務省専門調査員として北京日本大使館勤務、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授等を歴任。
専門は、中国政治、東アジア国際関係論。
著書『中華人民共和国史 新版』(岩波新書)、『中国政治の社会態制』(岩波書店)、『「中国共産党」論』(NHK出版新書)、『日中対立』(ちくま新書)ほか多数。

「2021年 『中国のロジックと欧米思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

天児慧の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×