生誕の災厄 新装版 [Kindle]

  • 紀伊國屋書店
3.00
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 54
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (315ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ペシミストで反出生主義のルーマニアの哲学者シオランのアフォリズムの数々は、人生や生誕への呪詛に満ち満ちている。
    読む前はどんより湿った、こびり付くような嫌さがあるのでは、なんて思っていたのだが、読んでみたらカラッと乾いていて嫌さはない。それどころか笑えるユーモアを感じる瞬間もあって、イメージとは真逆の印象を受けた。
    そして痛烈な皮肉を纏った痺れる箴言の数々は、ポジティブな言葉以上に元気になる力を秘めている。
    酷く落ち込んだときや、黒い感情が心を支配しているときにでも開きたい。

  • 生きると死ぬが反対概念だということじゃない、と言いたいのだろうか、非常にパワフルで刺激的な内容だった。
    ・生きている──にわかに私は、この表現の奇怪さにと胸を衝かれた。さながらそれは、どんな人間にも適用されないかのようである。
    ・人は動機なしに生きることができない。ところで私は動機を持っていない。そして生きている。
    所々で孔子やブッダの考えを持ち出すのも非常に興味深い。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

E.M.シオラン(E. M. Cioran)
1911年、ルーマニアに生まれる。1931年、ブカレスト大学文学部卒業。哲学教授資格を取得後、1937年、パリに留学。以降パリに定住してフランス語で著作を発表。孤独な無国籍者(自称「穴居人」)として、イデオロギーや教義で正当化された文明の虚妄と幻想を徹底的に告発し、人間存在の深奥から、ラディカルな懐疑思想を断章のかたちで展開する。『歴史とユートピア』でコンバ賞受賞。1995年6月20日死去。著書:『涙と聖者』(1937)、『崩壊概論』(1949)、『苦渋の三段論法』(1952)、『時間への失墜』(1964)、『生誕の災厄』(1973)、『告白と呪詛』(1987)ほか。

「2023年 『四つ裂きの刑〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

E.M.シオランの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×