古書ハンター [Kindle]

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  • 青弓社
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  • 1980年代の古書をめぐる短編集。
    表題作「古書ハンター」と「古書仲間」、「嗤い声」、「秘画」、そして「掌編」としてさらに短い話が編集されている。その中で一番興味深かったのが「古書ハンター」だった。

    高校教員の主人公は副業で「暁書店」という店舗レスの古書店を開いている。芥川賞受賞作の初版本を集めることに主眼を置いているのだが、あるときから「雑巾先生」という小説を追い求めることとなる。初版本と復刻版。謎を解明するために情報を集め歩き回る。アナログ時代だからか、彼の執念深さがより重く感じられる。彼が現代にワープしたらどう感じるだろう。

    二作目の「古書仲間」は、病気の仲間から頼まれて自宅の本を売る手伝いをする主人公の話。仲間の家族との関係や、徐々に悪化していく病気を抱える者の言葉が、切なく映る。しんみりとした気持ちにさせられる。

    たばこの煙、ウィスキーグラスの音、国電、電話番号案内…昭和のテイスト満載だ。懐かしい。でも埃っぽかった。

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著者プロフィール

1926年、横浜市生まれ。法政大学文学部卒。教職につき、35年勤続のあと退職して今日にいたる。著作に胡蝶豆本『稲毛恍歌集』(胡蝶の会、1981年)、長篇『少年の旗』(筑摩書房、1982年)、胡蝶豆本『掌編小説集 鎌倉』(胡蝶の会、1990年)、長篇『コーサラ王国記』(未刊、1989年)がある。

「2003年 『古書ハンター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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