農業消滅 (平凡社新書0979) [Kindle]

著者 :
  • 平凡社
4.17
  • (6)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 39
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (193ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 種苗法改正案、改定蓄安法などの法案の問題点を痛烈かつ本質をつき批判をしている。カロリーベースの自給率を見て、農業が弱まっていることが分かるのに、政府が取っている施策は真逆の施策、農家をより弱める施策をとりがち。背景には米国のM社があるのではないだろうか。
    この辺のやりとりは私も全く同感である。そして、筆者の農業を救済するための施策案は一見の価値あり。
    最後にある付録は秀逸。

  • みなさんは、自分が食べているものがどのように生産され、どのように運ばれ、どう加工されて自分の目の前にあるのか、知っているだろうか。ちなみに私は知らない。知らないのだ。当たり前すぎて気付かなかったが、これだけ安全を求める私たち消費者は、今自分が何を口にしているのか知らない。食料自給率や食料安全保障を語る前に、私たちはなぜ生きていられるのかを、わかっていない。
    本書は、日本の農業の現状について、食料自給率から農業資材、そして日本のWTOに対する従順な姿勢までを解説している。日本の食料自給率は現在37%まで落ち込んでいるが、これはカロリーベースでの試算であり、農業資材や種子までを含めたら、自給率は数%にまで下がってしまうという。
    この現状を皆さんは知っていただろうか。ウクライナ侵攻により、防衛費の増額や核の話まで出てきているが、今最も取り組まなければならないのは、食と農なのである。対米従属な政府の態度にはあきれ返るが、せめて食農の安心と安全は守ってほしいものである。

  • かつて農地だった土地が住宅になり、ショッピングセンターになり、耕作放棄地が増え、車で市内を走っていても、それらは以前よりも多くなっている気がする。国の農業政策は一貫性がなく、グローバル企業が利するよう改革され、農業で働くという魅力、環境作りも一向に整備されない。
    著者も教育に触れているが、学校でも農業に関する教育が必要なのではないか。最近流行りのSDGsを学校でどう教えているのか知らないが、持続可能な開発には農業は欠かせないものである。小学生に英語を教える時間があるのなら、「農学」の教科も作ってもいいのではないか。
    消費者は安い商品に飛び付き、生産者の立場は小さく扱われる。報道では今年は野菜が高い、ジャガイモが不作だ、そして買い物客へのインタビュー。「今だけ、カネだけ、自分だけ」、消費者と生産者は農業に限らずつながっており、後で自分たちに何らかの形で返ってくる。
    安全、安心が脅かされている日本の農業。1度放棄した農地は簡単には戻せない。手遅れになる前に全ての国民が考えないといけない問題が農業には山積している。

  • 東大の鈴木宣弘教授のデマ本を読みました。

    https://jacom.or.jp/column/cat647/
    ↑農業協同組合新聞のコラム+αがこの本なので、敵の出方を知るための目的でさえ買う価値なし。

    新しいデマは、IMFのせいでハイチの「コメの生産が大幅に減少」というもの。
    実際は横ばい。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/484949701.html

  • 1時間くらいで一気に読みました。鈴木先生の言説はさまざなところで拝見していましたが、本書は、新書としてコンパクトに重要な論点がまとまっているのが嬉しいですね。最後の付録の「建前→本音の政治・行政用語の変換表」が面白いw。例:「国益を守る」→自身の政治生命を守ること。アメリカの要求に忠実に従い、政権と結びつく企業の利益を守ることで、国民の命や暮らしは犠牲にする。
    「自主的に」→アメリカ(発のグローバル企業)のいう通りに。

    改めてもう国の農政は完全に破綻しているので、地域で農業を守っていくしかないよねって改めておもひました。ただゲノム編集のような自然環境に入って交配を繰り返すものは、今を生きる人類だけでなく、下手すれば数十万年・数百万年単位で自然環境に影響を与える可能性がある代物なので本当に止めないといけません。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1958年三重県生まれ。1982年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学教
授を経て、2006年より東京大学教授。1998~2010年(夏季)米国コーネル大
学客員教授。2006~2014年学術会議連携会員。一般財団法人「食料安全保障
推進財団」理事長。『食の戦争』(文藝春秋 2013年)、『亡国の漁業権開放~協
同組合と資源・地域・国境の崩壊』(筑波書房 2017年)、『農業消滅』(平凡社
新書 2021年)、『協同組合と農業経済~共生システムの経済理論』(東京大学
出版会 2022年 食農資源経済学会賞受賞)、『世界で最初に飢えるのは日本』
(講談社 2022年)、『マンガでわかる 日本の食の危機』(方丈社 2023年)他、

「2023年 『もうひとつの「食料危機」を回避する選択』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鈴木宣弘の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×