認知症世界の歩き方 [Kindle]

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  • ライツ社
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  • 架空の島への旅になぞらえて旅人(認知症の方)たちの不思議な体験の数々を紹介する。

    従来の認知症に関する書籍やインターネット上の情報は主に医療従事者視点のために一般には難しいとして、これに応えるためにわかりやすさへの徹底した配慮がなされている。宣言通り専門用語は登場せず、誰もが知っている一般的な語彙で数多い認知症にまつわる障害と、それによって引き起こされる困りごとをカテゴリーごとに分類して順に説明する。文字サイズは大きく絵図も多用し、三色カラーを用いてポイントをわかりやすく示す。巻末には逆引きとして困りごと別の索引も備える。

    わかりやすさの追求に並ぶ大きな特色として、収録されている体験談の数とバリエーションの豊富さが挙げられる。実際に100人の認知症の方々への聞き取りを行った成果をもとに、読者が認知症の方々から見た世界を疑似体験できるように工夫されている。また、障害とそれによって起こるトラブルの列挙にとどまらず、終盤50ページほどのパート2では当事者が認知症とうまく付き合うための具体的なアドバイスや考え方、相談先についてもそれまで同様にわかりやすい説明がなされている。

    認知症の障害と聞いて真っ先にイメージするのは記憶障害だが、それ以外にも視覚・触覚・聴覚などの五感や、空間認識や時間感覚などその影響は非常に多岐にわたり、これらが認知症の方々の生活の支障になっている事実を知らされる。意外な行動の原因が認知機能の障害によって引き起こされているケースが多く、当事者と周囲の人びとにとってそれまで説明がつかなかった行動の原因を理解できるケースもあるだろう。事実を知ることによって当事者はその身に起こる不可解な出来事に理由があることを知り安心し、周囲の人びとも認知症の背景を知ることで不安や怖れが大幅に軽減されるのではないだろうか。

    パート2に掲載されている認知症とともに生きていくための、生活や考え方のコツについては決して認知症の方々だけに限られたアドバイスではないだろう。辛いときは我慢せずに声をあげて周囲の人びとに頼り、公共機関を利用し、スマホをはじめとしたツールにできることは活用し、症状に合う居心地の良い環境を整備し、ものごとをできる限りポジティブに捉えるといった考え方は、障害を抱える人だけでなく健常者を含む全ての人びとにとっての生きていくうえで大切な汎用的な知恵といって良いだろう。

  • 率直に言えば認知機能のトラブルが起こるとこんな摩訶不思議なことになるのか、と驚愕

    認知症じゃないけど、似たような一瞬の経験ならあるので、これが根本的な原因を把握せず常日頃からあるなら、どんなに周囲とすれ違いも起きるのか、と知識を身につけるが大切だと感じる

    一般的に言われる認知症の行動
    しかしその背景は実にさまざま
    そのことを知らないとすれ違いが起きる
    少しでも認知症に感るす知識を蓄えていきたい

  • ・旅行体験記のように、認知症の世界を知るきっかけとなる本
    ・非常にわかりやすい
    ・小さな理解からが大事になる

  • 表現としてよく使われる「認知機能によって生活に困難を抱えている状態」の解像度が、格段に上がる一冊。想像力の助けになる。

    困りごとの種類がこんなにあるんだ、という驚き。そうだよね、しんどいね。。こうして言葉にしてもらえると、当事者が言葉にしづらい困りごとに気づきやすくなり、対策に繋げやすい。
    この本はすごい(´;ω;`)感謝の気持ちでいっぱい(´;ω;`)

  • 認知症についてわかりやすく説明してある本

  • 認知症の世界を体験できてよかった。また認知症にも様々な種類があることも理解できた

  • 認知症の方が感じる世界を体験できる入門書。
    少し長いように感じるが、イラストを使用していることからタイトルに惹かれる方もいらっしゃったり?
    本書で理解を深めるというよりは実際に当事者と関わる中で辞書的な使い方が良いかもと感じました‥‥
    関わらせていただく中で迷ったときに再読します

  • 認知症の感じ方が想像できるようになった。

  • ふむ

  • 内容はとても分かりやすくてためになった。
    でもちょっと読みにくいかなー。左スタートのせいかな?
    この本はむしろ、実際に認知症の方と同居して、その都度辞典のように引くのがよい使い方かもしれない。まさに「歩き方」なのだから。(KU)

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著者プロフィール

issue+design代表 / 慶應義塾大学大学院SDM研究科特任教授

「2023年 『認知症世界の歩き方 実践編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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