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感想・レビュー・書評
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雑誌用コラムと対談を集めたもの。論拠について語り尽くされてないのがモヤモヤするが、切れ味は鋭い。
ロシアによるウクライナ侵攻「前」までの国際政治のパワーバランスを国家組織の最小単位と言える「家族のあり方(家族人類学)」から鮮やかに浮かび上がらせている。
同様のアプローチで「ソ連崩壊」や「トランプ現象」「ブレグジット」を言い当てたトッドさんは、”米国の「リベラル的軍事介入主義」はイラク、イラン、シリア、ウクライナ、グルジア、アフガニスタンですべて失敗してきたように「リスクでしかない」”と警告する。だから極東アジアについても特に中国に対しては「軍事的な問題」とせずに「経済的な問題」として米国は平和的に「働く」べきと説く。
今後の大きな流れとしては、近現代を常にリードしてきて今後もそのポジションを譲らないであろう米英がグローバリズムから保護主義に転換したため、世界の分断は拍車がかかり閉じていくだろうと予想する。トッドさんの母国フランスについてもこの趨勢を見誤ると国家としての自殺を意味する、と厳しめだ。
また「中国が覇権国になる可能性はゼロ%」とも断言する。長く続けてきた一人っ子政策の影響が少子化だけでなく危機的なほどに男に偏ってしまっていることが理由らしい。少子高齢化が国家にとって必ずしも悪くはない、と言う識者も多いが(ジャレッド・ダイアモンド博士や高橋洋一さんなど)、トッドさんによると中長期にみて「全体主義が覇権国になった例はない」とも言う。中国を過度に恐れる必要はないと。
ロシアのウクライナ侵攻をうけて緊急出版されたという触れ込みの新著「第三次世界大戦はもう始まっている」も読んでみようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フランスの人口学者が幼児死亡率の上昇からソ連の崩壊を予想し、また中国の未来がないことを今、断言する。自分自身を左派と主張しつつも、トランプ米大統領や英国のブレクジットに好意的な書き方をしていることに、硬直的になった欧米の知識層への皮肉・批判が込められている!そして日本の将来については…。欧米諸国の未来については社会の分断、右派の台頭などの情勢分析が詳しい一方で、日本については磯田道史、本郷和人らの日本史に詳しい人たちとの家族論、天皇論に至る対談が興味深かった。書のタイトルは中身を表していないとも言える。しかし、日本の女帝はつなぎでしかなかったこと、日本の皇室には婿養子は全く存在しなかったこと、直系家族主義はむしろ天皇家に明治以降移植されたものなどの主張にはなるほどというところが多い。
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人口が減り続ける状態は、歴史家の観点から見れば救いがないもの。
移民しかないんかね。 -
父が買った本でその辺に落ちていたのでとりあえず読んでみた。
タイトル詐欺的な本でぶっちゃけそんなに日本のことは書かれておらず、昔のインタビュー記事を編集しただけという感じの本。人口動態をもとに経済分析をする、みたいな視点は面白かったが、タイトルの内容の深堀を期待した俺からすると若干不完全燃焼で終わってしまった。
というか今やあんまり内容も覚えてない。そんな深い内容ではなかったのだろう。 -
文芸春秋の再編集◆本当の脅威は「コロナ」「経済」「中国」でもない「日本型家族」だ!「家族」の過剰な重視は「非婚化」「少子化」を招き「家族」を殺す◆フランスの歴史人口学者、あまりの鋭さに予言者と呼ばれる…。自分が考えていることを論理的な読み物で提示してくれ心地よい。移民問題や西欧状況について知見が広がる。なるほど引用➡「地政学において重要なのは、相手をバカだと思ってはいけない」「ポピュリズムは、エリートが民衆の声を受け止めさえすれば消滅する」「家族のことを家族にばかり任せず、国家が介入すべき」(2021年)
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あまり知らない学問についての本なので、おもしろかった。ピケティのどこが優れているか解説されていて、興味をひかれた。
ただ、タイトルは羊頭狗肉 -
人口学者の警告の書。コロナの死亡率の低さ→現役世代を犠牲にした老人重視国家、日本の証明と説く。生産性向上には、敬老国家であるより、子供・現役世代重視の社会構築が大切。巻末の日本の歴史学者二人(磯田氏、本郷氏)との「家族体制論」に関する対談は興味深い。
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あまり表題に沿った内容ではない。
著者自身については名前を聞いたことがある程度で、学者としての世界の兆候への発想点(死亡率)は面白いものがあると感じた。
主張自体には正否はともあれ、立ち位置の違いによる真新しさもある。 -
日本にとって最大の危機である人口減少は”直系家族”という日本の家族構造が原因であるとする説。直系家族は世代間継承の重視や教育熱、規律正しさといった長所を持つ反面、”完璧さ”を求めるがあまり硬直性や少子化を招いてしまうという。あるべき家族観について考える貴重なきっかけになった。