- Amazon.co.jp ・電子書籍 (237ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
北条氏がなぜ政権を奪取し日本を動かし続け、最後は族滅したのか歴代の北条家当主のリーダーシップなどを見た本になります。
素人にも分かりやすく書かれていると思います。 -
鎌倉殿の13人を監修されている本郷教授の研究成果と意見をまとめたもの。ドラマの義時のキャラクターはどうやらこの方の解釈らしい。
本書のがカバーしているのは義時を初代とする得宗家を中心として族滅した高時まで。吾妻鏡が編纂されなくなって以後も、日記等の同時代の一級資料から北条一族の栄華と滅亡までを語っている。
日本史でさらっと触れる鎌倉時代を再度勉強する意味でも大変面白い本だった。時宗時代のつけがたまって発生した霜月騒動で安達氏が失脚した時点で北条政権が終わりに向かったという指摘は慧眼である。関東武士団の代表者として政権を築いた北条氏にとって、御家人以外にも市民権を与えて権力の拡大・バランスをはかるか、本土の東国武士の権益を守るかという選択はローマの拡大期のジレンマに比するものだった思われる。後者を選んだ結果、取り込まなかった御家人以外の勢力が、いつか革命勢力になびくことは必定であった。
日本ならではの構造なのか、本書の北条氏がたどった道筋「合議制→独裁制→取り巻きによる本家の神輿化→政権内抗争→政権の弱体化→革命」はのうち武家政権ならず天皇家、摂関家さらには現代の企業においても観察されるのは興味深い。 -
北条というと、考えてみると、それほど強いイメージはなかった。鎌倉幕府を開いたのは源頼朝だし、いつのまにやら入れ替わったと思ったら、足利尊氏に討たれる側になっているし。元寇の北条時宗がいるんだけど、あちらは大河のイメージもあって、あんまり存在感ないんだよね。実際、本書で本郷氏も時宗をリーダーとしてはあまり評価しないと言っているし。ただ、権謀術数と言うとイメージ悪いかもしれないけど、関東の田舎武士から家柄ではなく、実力で日本を統治する立場になったと考えると、その存在は日本史において際立っていると言えるのかもしれない。そういえば、日本で唯一革命を成功させたののは、北条義時だと、大澤真幸氏はゆってたっけ。公家とか天皇支配の世界から、武家支配への転換をおこなったのは、たしかに北条氏だったのだろう。そうして考えると、もっと知るべき歴史だったのだろうな。
義時から時宗以前は、いずれも北条の中でも嫡流ではなく、実力で頭角を現したという流れも面白い。リーダーとしては評価されない時宗が、実は北条の主権が確立した最初のサラブレットだったというあたりとのコントラストもね。
いろいろ刺激的な本だった。 -
しっかり書いてあるのでそのぶん固有名詞の多さに圧倒されるが、とても面白く読めた。