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- / ISBN・EAN: 4988021141369
感想・レビュー・書評
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ネトフリ視聴
松坂桃李の演技は好きだ。
万引きで逃げて車に轢かれトラックに引きずられて亡くなった少女と、その父。
娘を亡くして、そこから父親になっていく話。
車を運転していた女性の母親の台詞が圧巻だった。
スッキリしないけど、救いはあるようなラスト。
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本作をひとことで要約するならーー身もふたもない言葉になってしまうけれど思いついてしまったから書くと、ーー「人は往々にして他人の話を聞こうとしない」だ。
ただ聞くという意味ではなく、ある種自分自身の問題として、それ引き受けるということ。それは魂が強くないとできないことかもしれない。
本作はある事件をきっかけに、そこから増幅していく悲劇を描いている。
主人公は気性のあらい漁師・添田(古田新太)。
そしてある事件とはこうだ。
「スーパーアオヤギ」で添田の娘の花音がマニキュアを万引きした場面を店長の青柳直人(松坂桃李)が目撃し、事情を聞こうとしたところ花音が店を飛び出す。
店長は花音のあとを追いかける。が、もうちょっとで追いつきそうになったところで、花音は車道を横切ろうとし、車にはねられる。店長が近づこうとすると、花音は反対車線までいき、さらにトラックに引きずられて即死。
花音の生前、添田は、妻と離婚したため娘と二人暮らしだった。が、娘にはほとんど関心を示さなかった。そのくせ、彼女が死ぬと、執拗にスーパーの店長を追いかけまわす。それは、他者に責任を押し付けることで、自身の責任を直視しないようにするためだ。しまいには店長をロリコン呼ばわりさえして罪を認めさせようとする。こんな魂の弱さを持った人だ。
(そして、添田にとっても青柳にとっても、害虫のような存在が、2人のまわりで騒ぎ立てるマスコミの取材関係者。そしてワイドショー。しかしそんな下品な番組が、世間を動かすのだから怖い、青柳は報道と添田に追い詰められていく)
本作はいわば、そんな添田が娘の存在を死後になって発見していく物語だ。娘の部屋にあるものをひとつひとつ確かめ、そして娘が美術部で絵を描いていたように、添田もまた絵を始め、娘が好きだった少女漫画を読む。ここはちょっと涙腺が。
それはさておき、本作がすぐれているのは、どの登場人物にもかならず少しは共感できるように作られていること。そしてどの人物も多かれ少なかれみな孤独だ。
それぞれがみな弱さを抱えているがゆえに偏っていて、彼ら彼女らはそれぞれ自分なりに考えているのだけれど、言葉にしようとすると紋切り型のよそよそしい言葉しか出てこない。
「空白」というのは、ひとつにはその、埋まらない人と人との距離のことだろう。もうひとつは、それゆえ原理的に決して明らかにならないであろう「真実」の空白地帯。
本作に好感が持てるのは、この空白は空白のまま解消できないものとして描かれると同時に、人物たち全員が、良し悪しはべつにして物語のなかで少しずつ変化すること。だから、添田の物語としてだけでなく、それぞれの人物の視点で物語を追うこともできるように作られている。
ただ、それぞれの気持ちが少しずるわかるからこそ、全体として、観終わったあとひどくやるせない気持ちにさせられる。 -
・親父(漁師)(古田新太)
・娘(中学生)(伊東蒼)
1. 娘、スーパーで万引きを疑われる(真偽不明)
2. スーパーの店長(松坂桃李)に捕まる
3. 娘、ダッシュで逃亡。追う店長。
4. 娘、車に跳ねられる。店長呆然。
親父 =>(詰め寄り)=> 店長
■■■
関係者全員気の毒なのだが、急に飛び出してきた娘を跳ねてしまった女(野村麻純)とその母親の気の毒さがもう… -
はじまりは、女子中学生の万引き未遂事件だった。
スーパーの化粧品売り場で万引き現場を店長の青柳(松坂桃李)に見られて逃走した花音(伊東蒼)は、国道に出た瞬間、乗用車とトラックに轢かれて死亡してしまう。
だが、女子中学生・花音の父親・添田充(古田新太)は「娘が万引きをするわけがない」と信じ、花音の担任教師の今井若菜(趣里)やスーパーの店長の青柳など事故に関わった人々をモンスターのように追い詰めていく。
さらに、店長の青柳と女性ドライバーは、父親の執拗な追求にも増して、加熱するワイドショー報道によって、混乱の極みと自己否定に追い込まれる。真相はどこにあるのか……。
少女の母親である翔子(田畑智子)、学校の担任教師の今井若菜や父親の職場の充の弟子の野木(藤原季節)や青柳のスーパーのパート草加部(寺島しのぶ)をも巻き込んで、人々の疑念は増幅し、事態は思いもよらない結末へと展開する。
古田新太、松坂桃李初共演、吉田恵輔監督・オリジナル脚本で贈る「空白の時代」とそこに生きる人間の業を炙り出すヒューマンサスペンス。
この映画の着想は、本屋で万引きがあり店長が追いかけ万引き犯人が轢き逃げされて本屋がマスコミからバッシングされた実際の事件からで、吉田恵輔監督がマスコミの報道に違和感を感じたことから。
前半部分は、スーパーで起きた万引き未遂と轢き逃げ事件の当事者で周りや娘の父である充に追い詰められるスーパーの店長の青柳、娘の花音が轢き逃げされて亡くなった父親の充、ボランティア活動に熱中してる熱血女性でスーパーのパートの草加部、充の弟子の野木、真実より話題性を追うマスコミの、つぶれかけたスーパーで起きた万引き未遂と轢き逃げ事件から始まる真相をめぐるぶつかり合いとコミニケーションのすれ違いを、「花音は万引きをしたのか?何故逃げ出したか?」「店長は花音に何をしたのか?」がグレーで描きつつ、「自分が花音のことを理解してる娘は万引きしていない」と思い込んでいる花音の父親の充や青柳を守るために真相究明を求めたりお節介を焼き周りに自分の正義を押し付けるスーパーのパートの草加部や話題性と視聴率を追うワイドショーや事なかれ主義の花音が通っている学校などの自分の思い込みに取り憑かれた者達のコミニケーションのすれ違いが、凄まじく荒涼としている。
花音の轢き逃げ犯人に起きた悲しい出来事から、花音の父親の充が花音の知らなかった面を知り、ドン底に落ちた青柳や花音の父親の充に予想外の救済が訪れた後半は、「人は簡単に理解し合うことは出来ないけど、一歩踏み出すことが出来たら少しでもすれ違いを埋めることが出来るかも」と思えるほのかな希望が見えたヒューマンサスペンス映画。
受けに徹した松坂桃李やリミットを振り切っている古田新太や正義感が行き過ぎているウザさがリアルな寺島しのぶや田畑智子や藤原季節や趣里や片岡礼子の演技派俳優のアンサンブルが見事。
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「誰もが当事者になりうる物語」
たぶん、
人は、誰でもちょっとづつ、嘘をついたり自分を偽ったりしている
良かれと思って言ってしまったり
怖くて本当の事が言えなかったり
人を攻撃するためだったり
正義のふりをして真実を捻じ曲げたり
嘘も言えない人は、ただただ黙り込んでしまう
私も同じです
何かが起きた時に、自分は悪くないと思いたい
そんな事、最初に思う事じゃないのに
人との繋がりに、いくらでもある「空白」
自分の心の中にもわからない部分がたくさんある
身近な人のことをもっと知りたくなりました
その為にはどうしたらいいのか
まず、私が本心で話さなければなりませんね
辛い作品でしたが、とても良かった
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重い。
冒頭で娘の訴えに1mmも耳を貸さない・自分が絶対正しいという押し付けるばかりなのに、古田新太演じる父親がどんどん狂気じみていくのに腹が立った。
でも、大事なものを失って誰かのせいにしなければ正気を保てないというのは理解できる。むしろ、交通事故加害者で自殺してしまった女性の母親の様に振る舞える人なんてどれだけいるのだろう。絞り出す台詞一つひとつがしみた。
個人的には藤原季節くんが演じる漁師見習いの子がとても良い子で、常に気を張る古田新太のシーンに柔らかさを与えてくれた。
どんなに辛い時でも苦しくて誰とも関わりたくない時でもどん底から引き上げてくれるのは人なんだ。 -
内容が盛り込みすぎてて、ぱっとしない。
演技は凄かった、ちょっと物足りない。 -
ぶっきらぼうな父親が娘に死なれて初めて気付く物語?
でも昔の日本の父親ってこんな感じだよなーと思いながら。
あと松坂桃李が良い味出してた。
可哀想なのは車を運転していた女の子だよね。
お母さんが葬儀で挨拶をしたの・・・泣けた。
とにかく色んな人の人生が壊れたお話。
万引きした女の子が悪い?
その子を育てた親が悪い?
なんか見てて辛いお話でした。