電気じかけのクジラは歌う (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ある程度のまとまりを持った構造、音楽、海。フィルターバブルがより一層進行していく世界で、自分の”好き”な”新しい”ものに出会うのはきっともっと簡単になっていくのかもしれない。それは一見するといいことかもしれないけど、自分の”好き”も最初はきっと単純接触効果だよね。分からないけど、知らないものも知っていたいし、自分のものにしたいと思っちゃうなーーーー、

  • こちらも先日合同サイン会でサインを頂いた作家さんの作品。
    なかなか壮大な設定の作品。現在でも既にAIによる自動作曲のソフトは市販されているが,それが究極的に進化普及して,人は自分の好みに合わせてAIが作った楽曲を聴くのが主流になっている時代。それによって仕事を奪われる音楽関係者とAI・Jingを運営する会社との軋轢,天才的作曲家であり演奏家であった名塚の自殺と死後に公開された彼の遺作を巡る騒動,名塚とかつて3人組を組んでいた作曲家でもあった岡部は現在Jingの「検査員」を務めている。
    私も音楽は好きなので,AI作曲が進化した先の危惧は多少あるが,いくら学習させたところで人間の想像力をAIが越えることはないと思っている。しかしながらこの小説のような思考実験も悪くはない。音楽の視聴スタイルがサブスクが当然になって,ただCDを出し続けるアーティストを過去の遺物にしがみついているみたいな書き方はどうかと思った。サブスクは嫌い。

  • AIが個人用に作曲してくれる世界(もうすぐ現実になりそう)
    そんな世界で作曲する人たち、演奏する人達の話。
    ほんのりミステリ味。

  • 作曲がテーマのミステリー/SF小説。読んでいると脳内で音楽が再生されている気になるけれど、実際は何も聞こえない。読後感は夢の中のシーンの連続のようになるのはビジュアル記憶(?)に音が伴わないからか。

    主人公の岡部をはじめとして登場人物が概ね善人というか体臭がしない感じ。荒れるバンド仲間の「益子」ですら、ニュータウンの団地でウイスキー飲んで荒れていたのが実家に帰ったとたんに健康になるという設定、「ずいぶんあっさりクリーンになるのね」との印象。

    音楽関係の友人たちがアラフィフになるとチャリでこけたり、ウ〇コ漏らしたり、ものを無くしたりという「明るい壊れ方」をしていっているのを見ているだけに、この話の登場人物たちは30代なのでまだまだ若いな、と。

    なんてことを考えている時点で、自分のオッサン具合を実感した。

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著者プロフィール

小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。このほか著作に、『少女は夜を綴らない』(KADOKAWA)、『電気じかけのクジラは歌う』(講談社)などがある。

「2023年 『世界の終わりのためのミステリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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