伝説のトレーダー集団 タートルズの全貌 [Kindle]

  • 株式会社FPO
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  • 投資素人たちをビリオネアに成り上がらせたタートルズの訓練内容、具体的なトレードルールまで詳細に記されているので、トレーディングに関心のある者にとって大いに参考になる。
    彼らが活躍した1980年代のマーケットでは特別な才能や思考レベルの高い者でしか、トレーディングに携わることができない風潮にあったわけだが、その定説を覆すような人体実験は思いのほか痛快であり、これが本当にノンフィクションなのかと感じさせる大胆さがある。

    デニスはトレーディングに才能は要らない、ルールを学習すれば誰だって成功することができるという考えの下で、この突拍子もない実験を莫大な資産をもとに実施するわけだが、ある意味で、それを思いついたデニスはやはり天才なのではという印象を持つ人もいるかもしれない。いずれにしろ、身なりなども全く気にしないシカゴの田舎街出身の大男が全米を席巻するマーケッターになったことは事実なのだ。

    トレーディングに関心はあるが、利益を上げるための学習には消極的になってしまうタイプの人にとって本書はエキサイティングな物語として目を走らせながら学習できるとともにトレーディングに対する希望と自信を植え付けてくれるものといっていい。

    そして、本書が他の書籍と一線を画し読み応えを感じさせてくれる最大の理由がある。これまでウォール街の伝説としてタートルズは多くの書で、誕生時の逸話にはじまりサクセスストーリーとしてのみ描かれてきたが、著者のマイケル・コベル氏が第三者の立場で実際のメンバーに接触して裏側の話まで聞きだしたものを記しており、これまで真実と信じてきたものが覆される内容があったり、その後のタートルズの姿にまで触れているところが面白い。

    同じ特殊な技能を身につけた者たちであっても、それぞれ成果が異なるのはなぜか、ノーリスクでトレーディングを学べる環境にあるのに破門されたメンバーのことや成功者として取り上げられていたメンバーのその後の失墜の事実。さらに仕掛け人であったトレーディングのカリスマ、リチャード・デニスも例外ではなかったというタブーにまで突っ込んだものはおそらく本書だけだろう。

    本書はコベル氏のヒット作のひとつ『ザ・タートル 投資家たちの士官学校』の復刻版であるが、前作には盛り込まれなかった「あとがき」が掲載されている。監訳者が表現したように楽屋裏話のようなものであるが、確かにタートルたちの人間模様を浮き彫りにする興味深い内容だ。本書出版にあたり4人のタートルが著者を告訴すると脅してきたなんてセンセーショナルな話しは興味を惹かれて当然だろう。

    まさにタイトルどおり「タートルズの全貌」が記されている。

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