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感想・レビュー・書評
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課題解決に必要な、課題の特定の大切さと難しさがわかる本です。
環境変化が激しく、それぞれの抱える問題、課題が異なってきている現代では、問題発見、課題設定が大事であると言われるようになりました。
そんな中では、正確に現状を把握し、正しい戦略を描くことで、「正しい課題」を特定できるようです。
その際、注意すべきは、事実以外に、人の意見、想像、願望の伝聞である「類推」が混ざること。
①現状把握→②解釈→③介入→④感情の保留、という手順を踏み、どのステップでも「類推」を除くた「感情の保留」が重要であることがわかります。
問題発見、課題設定がうまくできない、何が課題かつかめない、といった悩みを抱えるビジネスパーソンが、その解決のヒントを得る1冊ではないでしょうか。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「正確に現状把握をし、正しい戦略を描くと、『正しい課題』を特定できる。『事実』に加えて、人の意見、想像、願望の伝聞である『類推』が混ざると、正確な現状把握が難しい。事実と類推を分離する意識とスキルが必要だが、そこで、その場で決定を下さず(しばらく)抑える『感情の保留』が必要。」
「人間は感情の生き物とされ、いつも感情に左右されて行動する。感情を抑えると、どこかにしわ寄せが生じるので『感情を保留』する。『保留』とは、『その場で決定を下さずに留めておくこと』。『私は、いまそのような感情を持っている』と理解した上で、『感情を保留』する。」
「『怒り』や『嫌悪』といったネガティブな感情だけでなく、『好き』『好ましい』という感情も保留すべき。誰が言ったかを保留し、何を言ったかで判断する。信頼している人の言っていることは、納得しなくても受け入れてしまう可能性がある。」
→感情の保留、人間は無意識のうちに感情に流されることも多く、なかなか難しいですが、とても大事だと思いました。同じ現実を見ても、違う解釈をすることもしばしば。なので、コンサルなども含め、第三者の視点で見てもらうことに価値を見いだせるのだろうという、自分のビジネスの源泉も再認識できた気がします。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・課題解決の手順は類似していて、「①現状把握→②解釈→③介入→④感情の保留」となる。どのステップも大事だが、喜怒哀楽などの感情が起きるのは仕方ないと捉え、それを保留して感情のままに判断・行動しないという「④感情の保留」は、①から③のすべてのステップにおける大事なポイント。
・環境変化が大きく、状況変化が頻繁な環境では、よいアイデアがすぐに見つかるとは限らないので、多くのアイデアを見つけ、その中からよいアイデアを見つける必要がある。そのためには、できる限り多くの情報をインプットする。自社だけでなく社外にも目を向け、異業界の先端事例までアンテナを広げたい。
○ビジネスは最初の「分け方」が9割
・「①現状把握」は重要。解決したいテーマを「上手に分解」し、「本当の課題」を特定、つまり「課題設定」することができれば、驚くほど「課題解決」がしやすいが、「課題設定」を間違うと、本当の課題は解決されないうえに、ムダなことに時間を使う結果を招く。
・「上手に分解する方法」は、①プロセス(時間軸)で分解する、②2軸のマトリックスで分解する、の2つしかなく、2つを使えるようになれば、課題は簡単に特定できる。
・「分解」だけならば多くのビジネスパーソンがやっているが、その「レベル(水準)」には差がある。「①現状把握」「②解釈」「③介入」「④感情の保留」それぞれに関して「水準」を高める必要がある。
○そもそも「課題解決」における「課題」とは
・「問題」は現状、「課題」は未来とのギャップ。「問題」が発覚したら、それが単なる「問題」か、未来にも影響がある「課題」なのかを判断し、解決するかどうかを判断する。「課題」は解決すべきだが、「問題」は解決せず放置していい。
・正確に現状把握をし、正しい戦略を描くと、「正しい課題」を特定できる。「事実」に加えて、人の意見、想像、願望の伝聞である「類推」が混ざると、正確な現状把握が難しい。事実と類推を分離する意識とスキルが必要だが、そこで、その場で決定を下さず(しばらく)抑える「感情の保留」が必要。
・ロジックツリーを作るやり方は、「漏れなく」にこだわってしまい、課題を特定するのに時間がかかるので、課題解決には向かない。一方で、勘に頼ってもまぐれでしか正しい課題にたどりつけない。
○「課題」を特定するための「現状把握」
・課題を解決できる当事者が、課題解決策をイメージできるくらいの大きさまで小さくすることが大事なポイント。重要なポイントを見つけ、そこを詳細化する。最初の分解の際、プロセスで分ける、マトリックスで分けるという2つの方法を使うと、戦略の深い部分に関連する。
・「プロセス」とは、時間軸で整理することで現状把握しやすくなる見取り図。プロセスで分解できるようになると、「課題」を特定するための「分解」のレベル(水準)が向上する。ビジネスの基本は「(新しいビジネスアイデアを)創る→(それを実際に)作る→売る」。これをきちんと回している会社は儲かる。
・プロセスのどこが課題かを特定し、そこを再度分解する。他者との差別化、うまくいっていない場合の強化すべきポイントなどが課題の候補。「創る」は、さらに競争優位ポイントを細分化できる。他社が大事にしないポイントや気づかないポイントで差別化できると競争優位を長く維持できる。それが複数だとさらに維持できる。
・2つの軸で整理するマトリックスで分解できるようになると、「課題」を特定するための「分解」のレベル(水準)が向上する。緊急度と重要度で分けると、緊急ではないが重要な「第二領域」のほか、市場成長率とマーケットシェアで分ける「PPM」、製品と市場の新規性で分ける「アンゾフの成長マトリックス」、自分と他人の知っていることで分ける「ジョハリの窓」、自社の強み・弱みと外部の機会・脅威を組み合わせる「クロスSWOT」などを知っておく。
○「課題」を深掘る「解釈」
・問題を「分解」して、そのうちの最重要個所を特定し、そこを徹底的に深堀りする。
・例えば、フォーカスすべき顧客をセグメント化して深堀りする場合、まず、恩恵を受ける人は誰かを考えるが、成功したスタートアップは少数の人が強く求めるものから作り始めることが多い。次に顧客の恩恵は何かを考え、それをどのようにすればより多くの人に愛してもらえるかを考える。
○課題を解決する「介入」
・現場に対して部外者が解決策を提示するのは、現場の感覚からすると「大きなお世話」なので、伝えるときに「介入」をするという意識を持つ。それがないと、現場が積極的に協力せず失敗する可能性が高い。
・人は、同じ現実を見ても、違う解釈をする。提案は、実は現場ですでにやっていることも少なくない。やったことがある、できるかもしれないという目で見ると、やってみようと思う可能性が高まる。ほんの小さな工夫で、現場のメンバーにやる気になってもらうことができる。「心理的安全性」の高さもポイント。
・課題解決できても、次の課題が生まれる。1年に1回くらいは、さらにレベルアップするように何かが起きる。改善活動はそんなもの。
○課題解決をはばむ「感情」を保留する
・人間は感情の生き物とされ、いつも感情に左右されて行動する。感情を抑えると、どこかにしわ寄せが生じるので「感情を保留」する。「保留」とは、「その場で決定を下さずに留めておくこと」。「私は、いまそのような感情を持っている」と理解した上で、「感情を保留」する。
・「怒り」や「嫌悪」といったネガティブな感情だけでなく、「好き」「好ましい」という感情も保留すべき。誰が言ったかを保留し、何を言ったかで判断する。信頼している人の言っていることは、納得しなくても受け入れてしまう可能性がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そもそもその問題は解決すべき課題か、という分岐から考えることは、普段の仕事の中で忘れがち。
また、プロセスとマトリクスで考えるというフレームはシンプルで会議などでも使いやすい。
体系的で網羅的な本ではないが、すぐ使える実務的な内容だった。 -
問題解決方法についてはありきたり。しかし、リーダーが現場に介入して問題解決する最善策など参考になった。
◯課題解決の構想
・現状把握=本当の課題を発見する
・解釈=課題解決策を見つける
・介入=現場に課題解決策を実行してもらう
・感情を保留
◯現状把握の間違い
・MECEを重視するな。漏れなく が曲者
・めちゃくちゃ時間かかる。早めに問題の絞り込みをしろ
◯リーダーが新しい組織ですべきこと
DAY1:自分が何者で、何をしようとしているかを示す
DAY30:成果の兆しを見せる
DAY100:何かしらの成果を見せる
◯現場に対して「自分は介入している」という意識を忘れない
・現場からすると、部外者がやってくることは大きなお世話
・現場をリスペクトして、現場と信頼関係を気づくことから始める
・信頼はお互いのバックボーンを知ることから始める
・「現場」に『思考』をすり合わせさせる前に、「介入者」から『行動』をすり合わせていくこと
・あなた達は「できる」「すでにやっている」と伝えること。自分たちはできるという目で見れるようになると、劇的に主体性が変わる。
◯感情の保留
・誰が言ったかの保留
・怒りや嫌悪といったネガティブな感情ではなく、「好き」「好ましい」という感情を保留させることも重要。
感情を抑えるのではなく、保留させるという意識が重要。抑えるのは辛いしお願いすると角が立つが、保留は誰にでも馴染みやすい言葉。