旅をする木 (文春文庫) [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 荘厳な自然の営みと、大自然と共存する人々に思いを馳せた、心に響くエッセー。95年刊行。

    文章の端々から、アラスカの自然の厳しさ、素晴らしさが伝わってくる。写真も載せて欲しかったな、と一瞬思ったが(何しろ著者は写真家だ!)、写真がないことでかえって著者の思いを深く汲み取ることができるのかな、と思い返した。

    著者は96年に熊に襲われて亡くなっているという。本書、かえって輝きを失わないんだな。

    自然への畏敬の念を綴る文章の中で、特に共感を覚えたのが次の箇所だった。「昔、電車から夕暮れの町をぼんやり眺めているとき、開けはなたれた家の窓から、夕食の時間なのか、ふっと家族の団欒が目に入ることがあった。そんなとき、窓の明かりが過ぎ去ってゆくまで見つめたものだった。そして胸が締めつけられるような思いがこみ上げてくるのである。あれはいったい何だったのだろう。見知らぬ人々が、ぼくの知らない人生を送っている不思議さだったのかもしれない」。この切ないようなもどかしいような気持ち、自分も学生の頃から味わってきた。著者と感性の一部が共通していることが嬉しい。

  • とても素敵な本でした。

    普段の生活の中でふと、自分がいた自然や山のことや国の景色を思い出して
    今自分の過ごしている同じ時間に
    あの場所はあって同じ時間が流れてるんだよなと思うことが時々あってそのたびにいつも不思議な感覚になることが私にもありました。
    同じことを星野道夫さんも感じていて
    あ、同じだ。と嬉しくなりました。

  • 20代の頃に読みたかった。そんな素敵な一冊。星野道夫さんの想いはどこか今まで読んできたいろんな人の本を繋いでくれる。この一冊を読み、いろんな本に再読の手が伸びた。そして何歳になってもボクは旅をし、自分自身を更新し続けたいと思う。

  • 日々忙しく暮らしていると、自然の中に生かされている感覚をなかなか得られないので、それを教えてくれた本。本能のまま精一杯生きるアラスカの動物たちや少数民族の描写に心が洗われる。知人が寄せる解説がまた良い。星野さんの、短いけれども輝いていた命を感じることができる。

  • " 生まれもった川 " の話を時折おもい出す 。
    驚くほど早い年齢で向こうの岸に辿り着こうとしてしまう、じぶんのペースに不安がよぎる時には この言葉で焦らないと落ち着ける 。
    ビル・フラーの云う「 春がきました 」の言葉が いつ読んでもあたたかい陽だまりの様 。
    Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces,I would still plant my apple tree.

  • 十数年ぶりに再読中。
    1つ1つのエピソードに、前とは違う共感をしていて、じっくり味わっています。

  • 2022年に読んだ本の中でも特に記憶に残る一冊だと思う。見たことない景色のはずなのに美しく広大な自然の情景が思う浮かぶような感覚が心地よかった。

    個人的にはリツヤベイの章がとても印象に残っている。

  • 17年間、旅人から旅人の手に渡り世界を旅してきた本という新聞記事で知った一冊。アラスカの大自然を愛し43歳で大自然の中に散った著者の遺した33編の随想。大いなる自然と悠久の時間に畏敬の頭を垂れつつ読了。これからの人生。何度もこの書を手にするような気がする。

  • harukaNakamuraさんの「旅をする木」の朗読を聞いて再読
    前回読んだときは、ただ文字を追いかけるだけで苦しく読んでいたが。
    今回は文字を物語として捉え読むことができている。
    自分は日本人の漂流物語に驚いている。

  • ふむ

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著者プロフィール

写真家・探検家

「2021年 『星野道夫 約束の川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

星野道夫の作品

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