ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス) [Kindle]

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  • ウクライナ・ロシア戦争の最中、ウクライナ、ペンギンというキーワードに惹かれて読んだ。ペンギンと少女という楽しそうな役者が登場するにも拘わらず、陰のある舞台設定と不条理な物語進行が淡々と進む。結局、多くの伏線が回収されずに終わってしまい、作者は何を言いたかったのだろうというもやもやした読後感が残った。著者アンドレイ・クルコフはウクライナの作家だがロシア語で書く。いろいろな制約があるのだろう。

  • ソ連崩壊後のウクライナを舞台にした、ある男の生活を描いた作品。
    サスペンスでもミステリーでもないが、作中を通して、常に見えない不安や恐怖が漂っている。主人公が感じる幸福も、虚ろで確かなものではない。

    旧ソ連からの独立後という、不安定な時代が醸し出す独特の空気感はこういうものなのか、と感じ取ることができる。
    また、旧社会主義国の東欧各国が現在も持っている、諦観や寂しさを備えた空気感は、ここに由来するのかとも感じた。

    訳者後書きでも言及されていたが、著者は「ロシア語を使うウクライナ人作家」という、民族主義が高まるウクライナでは微妙な立場に置かれていた。
    今ではすっかりロシアとウクライナは別物のようになってしまったが、文化的には包摂的であってほしいとも思う。

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