日本共産党 「革命」を夢見た100年 (中公新書) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • SEALDsとともに活動したことは書かれているが、2024/02/18ごろに某所で盛り上がりを見せたNPOによる支援事業との関連には全く触れられていない。その辺が知れることを期待していたので、その意味では期待外れである。

    398ページくらいで日本共産党()であることを述べたので忖度した本ではないようだが、それまでは機関紙などが主要典拠なのだろうと思わせる雰囲気が濃厚だと感じられたため星1ないし2の評価だったが、最終的に中庸の評価となった。

  • 日本共産党について文章を書くときに直面する問題は、好意的であれ嫌悪であれ色眼鏡をつけてしまうことであろう。本書はそう言った偏見や先入観を限りなく削ぎ落としている。また本書は序章で各国の共産党について系統分類を行った上で日本共産党についての歴史に踏み込んでいく。こうすることで読者の色眼鏡を弱める効果も果たしている。偏見・先入観を持たない、持たせない点は本書の長所として1番に評価するべき部分であると思う。

    さて本書を紐解いていくと、日本共産党はよく言えば理念を持ちながらも現実的に変容していく政党、悪く言えば声は大きいが意外とフラフラしている党という印象を受ける。ソ連や中国の共産党との関係も決して一様でもなく、また国内の他党に対する姿勢も10年単位でコロコロ変わっている。分派を禁止し多様性を認めない割には機関紙による大衆化に成功したり、90年台に安全保障政策についてちゃっかり自主独立路線から非武装中立路線に乗り換えるなど、不思議な政党だ。
    著者はこういった共産党の変容にひとつひとつ触れた後に、将来の共産党のあり方についても踏み込む。
    あくまで中立的に、冷静に分析や提言を行う著者の姿勢こそがこの本の真価であると思う。

  • 革命、人民、自己批判…一目で特定のイデオロギーと結びついていると思ってしまう数々の単語が、この本では歴史的な役割を与えられ、その言葉の背景にある社会主義・共産主を、日本で形作ろうとした人々の努力が、とても分かりやすく書かれている。

    筆者は日本政治を専門とする方で、特に自民党に造詣が深いとのこと。それだけに、共産党に対して特に変な先入観を持たず書かれていることも、安心して読み進められる要因の一つだった。

    日本の政治史について知りたいと思ったら、手に取ってまったく損はない本だと思う。

    この本は聞いていたラジオ『セッション』で紹介されていて、たまたま知ることができた。とてもラッキーな出会いだった。

    #中公新書 #中北浩爾 #TBSラジオ_セッション

  • 『自民党』もよかったけどそれ以上。「歴史総合」的な魅力すらある。とてもよかった。

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著者プロフィール

一橋大学大学院社会学研究科教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中途退学。博士(法学)(東京大学)。大阪市立大学法学部助教授、立教大学法学部教授などを経て、2011年より現職。専門は日本政治外交史、現代日本政治論。
著書に、『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書、2012年)、『自民党政治の変容』(NHKブックス、2014年)、『自民党──「一強」の実像』(中公新書、2017年)、『自公政権とは何か』(ちくま新書、2019年)、『日本共産党』(中公新書、2022年)など。

「2022年 『選択的夫婦別姓は、なぜ実現しないのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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