- Amazon.co.jp ・電子書籍 (426ページ)
感想・レビュー・書評
-
上巻は主にゼロデイ(ソフトウェアの未発見のバグ)の取引の話。
サイバー兵器とはつまるところ未発見のバグを利用したソフトウェアのことであり、”兵器”とまで呼ばれるようになると、それが高度に洗練されたものになるらしい(当然であるがどう洗練されているかは書かれていないが)。
そういったゼロデイやサイバー兵器の取引がアメリカでは20年以上も前から行われており、スノーデンによる情報流出の後は、それが米国以外の各国に広がった形か。
スタックスネットや海外政府に雇われるサイバー要員の話も結構詳細に書かれており、参考になる。
読めば読むほど、プラグマティズムより法律が優先される優等生の日本において、現実的なサイバー戦の能力がはたして獲得可能なのか、疑問に思えてくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【私たちはサイバー攻撃を一〇年にわたって目の当たりにしてきた。私たちが体験しているのは、たった一度の攻撃ではなく疫病である】(文中より引用)
ハッカーや元諜報員への取材を重ねながら、サイバー兵器の市場がどのように誕生し、変化を重ねてきたかを描いた作品。著者は、「ニューヨーク・タイムズ」でサイバー・セキュリティを担当するニコール・パーロース。訳者は、翻訳家として活躍する江口泰子。原題は、『This is How They Tell Me the World Ends』。
バグの発見が新たな市場を作り出し、そこにありとあらゆるプレイヤーが群がるようになるとともに、予期せぬ方向に市場が形を変えていく様は圧巻。政府だけでなく民間企業や個人を巻き込んだ壮絶な競争が、短期間のうちに次から次へと繰り広げられているんだなと思い知らさせてくれた傑作です。
原題が小洒落具合も☆5つ
※本レビューは上下巻を通してのものです。