農協の闇 (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 農協に限らず、どんな組織にも闇はあるので、外部から指摘された時にどう行動するかで、未来を占えるのだと思う。
    いろいろなことが書かれていますわ。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/502706319.html

  • かなり衝撃を受けました。
    今時、こんな営業がまかり通っているのか、と。
    JA職員の共済商品における「自爆営業」です。
    自爆営業というのは、ノルマを達成するために自ら共済に入ることをいいます。
    人によっては年間約50万円もの「自爆」を強いられているというから唖然とします。
    もちろん、心ある職員は「ノルマ地獄」を逃れるため、続々と転職しています。
    自爆だけではありません。
    契約者や被共済者に虚偽の説明をして勧誘したり、不利益を被らせたりする不正行為が横行しているようです。
    もっとも、真っ当な感覚を持つ経営者もいます。
    たとえば、ほぼ全てのJAが共済商品しか扱わない中で、JA越前たけふは民間の保険商品も扱っています。
    「選択肢を増やしたかったんです」という冨田組合長の発言は至極まともなものだと思います。
    しかし、こうしたJAは、業界では「異端視」されるのです。
    その他、自らの存続のためだけに「理念なき合併」に突き進む地域のJAや、権力闘争に明け暮れるJA幹部らの姿も克明に描いており、JAの腐敗ぶりをまざまざと見せつけられた思いがしました。
    なお、本書に取り上げられているのは、いずれも私の住む北海道以外のJAの事例。
    道内で同じようなことが行われていないことを祈るばかりです。

  • 新聞記者である著者が、農協の不正を暴いた本。ジャーナリストだけあって、聞き取りは詳細で、よくまとめられていると思う。ただし、聞き取り対象が一方的で、被害者の記述ばかりなのはいただけない。首脳陣に話が聞けていないので、駄々をこねる子供の意見をまとめただけの本とも言える。また、事実や定量的なデータに基づく学術的な分析も行われていないため、結論が推定となってしまっており説得力がない。我が国の農業政策において、農協の存在はマイナス面が多い。そこを論理的に立証していくには、他の金融機関や他国の同等の組織と比較するなど、農協の力量をはっきりさせて、その意義や今後の役割を議論しなければいけないのに、そのデータとはなかなかなりえない本といえる。残念。

    「(自爆が常態化)自爆とは、ノルマを達成するために、必要のない共済に職員自ら入る、あるいは他人に懇願して入ってもらい、その掛け金を肩代わりすることを指す。職員は自爆を減らすために、顧客に不利益な商品でも勧めてしまうのである」p58
    「数ある協同組合の中でもJAだけに特権的に許されている「准組合員制度」についてである。准組合員制度とは、非農家である准組合員も組合員として認めるというもので、この制度があるため、いまや准組合員の数のほうが農家がなる正組合員の数を上回り、JAは農業協同組合と呼ぶにはふさわしくない組織になりつつある(全国組合員1040万人、正組合員410万人、准組合員630万人(2020年)正准の逆転現象は2009年から)」p195
    「農林水産省は、農家について「経営耕地面積10アール以上または農産物販売金額が年間15万円以上の世帯」と定めている。しかし121/473(26%)JAは、10アール未満でもOKとしている」p197
    「JAが国内最大手の銀行や保険会社と比肩しうる存在になれたのは、准組合員のおかげといえる」p199
    「コメ業界では、先物市場の本上場が不認可となった背景には、自民党の大物議員が動いたという噂が根強い」p260
    「腐敗した組織に付きものの隠ぺい体質が見てとれる」p282
    「組織はなかなか変わらないものだ」p328
    「(郵貯の不正契約事件)郵便局の社員が言うことであれば間違いないという信頼を悪用した」p329

  • すべてのJAがこのような実態ではないとは思うが、ノルマは非常に厳しく、各職員の金銭的負担になっている。
    私としては、営農部門がどうなっているかに興味があり購入したが、ほぼ金融部門について記されていた。

  • タイトルからして気になり購入。定期的に読むこういう本は面白い。

    現在進行系で農協という組織の様々な問題点や不正が描かれているが、これが今の話であることに驚く。今後の進展がとても気になった。

    なぜ農協が必要なのか?やめられないのか?といったところがモヤっとしているが、地域にとって必要な組織であることは間違いない。

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著者プロフィール

窪田 新之助(くぼた・しんのすけ):農業ジャーナリスト。日本農業新聞記者を経て、フリー。著書に『農協の闇』(講談社現代新書)、『データ農業が日本を救う』(インターナショナル新書)など。

「2023年 『人口減少時代の農業と食』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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