2時間で丸わかり インボイスと消費税の基本を学ぶ [Kindle]

著者 :
  • かんき出版
4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 21
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (245ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 個人事業主も含む経営者全てが知っておくべき、インボイスのことがわかる本です。
    来年から始まるインボイス制度は、これまで消費税の納税を免除されてきた売上の小さい事業者に大きな影響を及ぼします。
    適用事業者にならないと、これまで行っていた消費税の請求はできなくなります。
    これまでと同額を請求すると実質的な値上げと見られたり、取引先が消費税の控除ができず、取引を見直されたりする可能性も。
    そもそもの消費税の基本から、インボイス制度までを解説した上で、ケースごとに取りうる手段も教えてくれています。
    多くの中小企業の経営者や会計関係者、個人事業主の方々におすすめできる1冊だと思います。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】

    「売り手からインボイスを求められる免税事業者は、今までと同じ金額を請求して得意先から取引を外される、取引から外されないよう請求額を消費税分引き下げる、あえて課税事業者となって消費税を納税する、の3つが選択肢にある。どれを選んでも手取りは減る。」
    「課税仕入が少ない場合ほど、簡易課税を選ぶと納税額が少なくなる可能性あり。アパートの大家などほぼ100%非課税取引、ほぼ100%が消費税の納税をしない消費者向け事業、乗り換えられるライバルがいないなど、免税事業者のままがよい場合もある。」
    「課税事業者側のコストアップ軽減には、自分が簡易課税を選択→適格事業者+簡易課税の要請→消費税分の値下げ要請→取引先変更の可否検討、の4つを順番に検討する。」
    →私自身も今後、どうすべきか悩んでいたところでしたので、大変参考になります。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ○消費税の基本
    ・簡易課税を選択すると、仕入消費税の集計をいちいちする必要はなくなり、仕入率次第では、消費税の納税額を大幅に軽減できる場合もある。利用するには、適用を受けようとする課税期間の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要。

    ○インボイス制度の基本
    ・インボイス制度になっても、今までとまったく異なる「インボイス」という書類を発行しないといけないわけではなく、買い手が正しく消費税率と消費税額が判定でき、証明するための売り手の登録番号を記載すればよいだけ。必要な項目の手書きでも対応は可能。
    ・適格事業者には、課税業者でないとなれない。免税事業者は、まず課税事業者となる必要がある。原則として、課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出するが、2029年9月までは、適格事業者の登録だけでよいという特例がある。
    ・適格事業者も、課税事業者も、なったら2年は免税事業者に戻れなくなることに留意する。
    ・売り手が適格事業者かどうかで経理処理方法が変わるので、相手がそうか確認する必要がある。国税庁のサイトで公表されるが、登録番号がわからないと検索できない。初回の取引については、請求書に記載の登録番号で実際に検索できるかを確認すること。

    ○免税事業者の対応
    ・売り手からインボイスを求められる免税事業者は、今までと同じ金額を請求して得意先から取引を外される、取引から外されないよう請求額を消費税分引き下げる、あえて課税事業者となって消費税を納税する、の3つが選択肢にある。どれを選んでも手取りは減る。
    ・課税仕入が少ない場合ほど、簡易課税を選ぶと納税額が少なくなる可能性あり。アパートの大家などほぼ100%非課税取引、ほぼ100%が消費税の納税をしない消費者向け事業、乗り換えられるライバルがいないなど、免税事業者のままがよい場合もある。

    ○免税事業者から購入する課税事業者の対応
    ・免税事業者に仕入れの消費税が支払えないほどの値下げ要請をする、適格事業者になるよう要請したのに売り手の負担増を考慮した取引価格にしない、免税事業者が消費税全額の値下げ要請に応じないことを理由に取引を停止する、という場合は独禁法上問題になることがある。
    ・課税事業者側のコストアップ軽減には、自分が簡易課税を選択→適格事業者+簡易課税の要請→消費税分の値下げ要請→取引先変更の可否検討、の4つを順番に検討する。

    ○インボイス制度での消費税の計算と経理処理
    ・従来の請求書への手書き追加でもよいが、それが最適な対応とは限らない。インボイス制度導入を機会として、請求書発行や販売管理用のソフトウェア活用も検討してみる。都度、必要になる仕入税額控除の可否、支払先が適格事業者かの確認の手間も大幅に減る。

    ○インボイス制度で請求書が変わる
    ・売り手は買い手に交付したインボイスや簡易インボイスの「写し」を、買い手は仕入税額控除をするために受領したインボイスや簡易インボイスを「一定期間」保存する必要がある。書類そのもののコピーでなくても、販売データや一覧表などの保存でも足りる。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

●1967年生まれ。税理士。明治大学商学部卒業。國學院大學大学院経済学研究科博士前期課程修了。本郷公認会計士事務所(現 辻・本郷税理士法人)勤務を経て、1994 年に26歳で吉澤税務会計事務所を設立。現在同事務所代表およびアライアンスLLPパートナー。
●不動産全般、とりわけ相続や事業承継、資産税に強い税理士として、首都圏を中心に活躍。顧問先に不動産会社を多数抱え、税務の戦略的なアドバイスができる不動産のプロの育成に尽力している。
●一方で、税務・資金調達という自身の専門分野で経営者が抱える種々の難問に取り組む「ファイナンス用心棒」を自認し、現在、日経トップリーダー経営者クラブ 「トップの情報CD」でレギュラーコメンテーターを務める。

「2022年 『最新版 2時間で丸わかり 不動産の税金の基本を学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉澤大の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×