三流シェフ (幻冬舎単行本) [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • 以前、テレビで三國シェフを見てから興味があり手に取った本。
    三國シェフの幼少期からシェフになる過程が描かれているが、ブレない姿勢、ブレない気持ちが三國シェフという人を作ったのだと思う。
    『人と同じことをしていても成功しない』
    まさに、三國シェフの行動力あってこその成功だと思った。
    普通なら躊躇してしまいそうな場面でも即決、即行動へと移してしまう。
    そんなところは見習いたいところだと思った。
    また本の中で紹介されてた『皿の上に、僕がある』という本も一度見てみたいと思った。

  • 小生はフランス料理を全く知りませんが、有名なフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフの名前くらいは聞いたことがあります。
    四谷の高級住宅地の奥にある、隠れ家のようなレストランの前を車で通って、「あらあら、こんなとこにあるんだー」とちょっとびっくりしたこともありました。
    その三国清三氏が本を出したと聞いて、さっそく読んでみました。そしたら、それがすごーく面白い。
    三國清三氏は、小生とほぼ同年代で、北海道の増毛という漁師町の出身で、極貧の生活から這い上がってきているのです。まるで、ドラマの世界のようです。
    この時代は、その以前の時代と違って、ふつうはそこまでの極貧生活の人々はあまりいません。
    それが、三國氏の父親は「ニシン漁の大博打で大きな借金」を背負っていたというのです。
    本書は、ニシン漁の話として「なかにし礼」の「兄弟」という本の内容を引用しています。
    「なかにし礼」は1960年代に活躍した作詞家として有名ですが、1990年代末からは小説家としても活躍しています。
    その自伝的小説「兄弟」(2001年 文春文庫)で、兄のニシン漁での巨額な借金について事細かく書いているのです。
    なるほど、三國氏は、その「ニシン漁」の巨額な借金を背負った家庭で、極貧の少年時代を送ったのかと、思わず本の世界に引き込まれました。
    本書の中に、無口でめったに話さない父の一言として書いてある言葉が印象的です。
    「大波が来たら逃げるな。船の正面からぶつかっていけ」
    その後の人生で、何度も両親の言葉を思い出した、と書かれていますが、この少年時代が三國氏の出発点であり、その後の人生をかたち作ったのでしょう。
    三國少年は、中学を卒業して、札幌グランドホテルに、下働きのパートとして入社して、そこでひたすら寸胴を洗います。
    そして「料理の神様」と言われていた、帝国ホテルの村上料理長ヘの紹介を受けるのです。これもドラマみたいですね。
    無我夢中で必死で生きている三國少年の姿が見えるようです。この時代は、まだハングリー精神というものが生きていました。
    帝国ホテルに入っても、パートの鍋洗いです。正社員への壁は厚かったのです。
    20歳になった時に、帝国ホテルのすべての店の鍋を洗ってから辞めて、北海道へ帰ろうと決意した最後の日に、村上料理長から呼ばれて、「君を大使の料理人に推薦しました」と言われたと書いています。驚きの大逆転劇です。
    そして、ジュネーブで大使専属料理人となり、大使の招待客が懇意にしているフランス料理店に毎日通い、前菜からデザートまですべてコピーしたとあります。
    よくそのようなことができたものですね。それができると分かっていたから、帝国ホテルの村上料理長も大使の料理人に推薦したのでしょう。
    1週間寝る間を惜しんで準備して、無我夢中で料理を作り上げたと本書には書いてあります。
    苦労は多かったのでしょうけど、実に楽しそうです。
    大使との2年間の契約期間を終え、三國氏はヨーロッパのフランス料理店での修行の旅に出ます。
    小生は、まったくフランス料理の素養がないので、この辺は読んでもわからないのですが、おそらく、どの店もどのシェフも一流の有名な店であり、料理人なのでしょう。
    興味を引いたのは、三國氏の料理人同士の付き合い方です。
    日本人に対する差別意識はヨーロッパ人の底流に流れているのでしょう。
    厨房ではチームワークも大切だけれど、同時に競争の場であります。「もういっぺん言ってみろ、俺は腹を切るぞ」が、三國氏の殺し文句だった書いています。思わずニヤリと笑ってしまいました。
    そして、帰国して店を出し、そして成功します。
    お客さんに「お金と信用と技術、三國さんは三つの内二つがあればお店は持てます」と言われ、その通りになったとは、何とも伝説的ですね。現実は、そうできない人がほとんどなんですが。
    やはり三國氏は努力と集中力で非凡な地位を気づきあげた特別な人なのでしょう。
    本書は、三國清三氏の人生をたどった伝記ですが、極貧の境遇から、とんがってとんがってとんがって、そして大きな成功と評価を得るに至った実に興味深い本ですね。一気に読み終わりました。

  •  コロナになり、Youtubeで三國シェフの料理動画をよく見ている。『三國シェフのベスト・レシピ136 永久保存版』もおすすめだ。そんなYoutube動画の中で、三國シェフが自分の昔の話をしている回があって、これがすこぶる面白かった。
    https://www.youtube.com/watch?v=r43sbHWzZzQ&t=25s
     三國シェフは北海道出身で、ボクと一緒なので、そのあたりも共感して見入ってしまったが、かなり貧しい家だったらしい。そこからシェフになるまでの話しの回なのだが、本書はこれも含めた話だろうと想像して手に取った。正月休みに読もうと思ってamazonで注文した。今日、大晦日に届いたので、これから読むのが楽しみ。
     昔はかなり厳しい人だったらしいが、情熱大陸で特集したものがYoutubeに挙がっているので、これも併せてみるとよいと思う。今の三國シェフからは想像できない厳しさ。こういう時代があるから、今があるんだろうなと改めて思う。
    https://www.youtube.com/watch?v=Ivg4OUbqBLM&t=155s

  • ミクニさんの人生が面白すぎる。
    朝ドラでやってほしい。

  • 子供時代から修業時代、そして自分のお店を持ち、これからの話まで全て興味深く、楽しめました。

    好きで目指した道、とはいうものの、何も約束されていない自分の未来に対し、一貫してぶれることなく修業を積むあたり読んでいてワクワクします。

    日本がフレンチ、イタリアンのブームとあいまってシェフ達も注目された時代に、たくさん雑誌、本(レシピ本等)も読んだり、食べ歩きをしていました。
    なので、懐かしい部分もありです。 また当時よく、調理場の上下関係や、修行の厳しいことは聞いていたので、本の中に出てくる内容も頷けます。

    三國さんが海外に行かれた頃は、今のようにネットで情報が得られない時代。 その時代に志ひとつで海外に飛び出すというのは凄い強さだと思いました。

    就職先のお嬢さんが作ってくれたハンバーグを食べた時の驚き、あのような驚きこそが、人を突き動かす初期衝動なのでしょう。
    誰にでもそういうものがあるなって思いました。でも、動かされ続けたのは、純粋さと執念とを持ち合わせていたからなのではないでしょうか。
    今後どのような展開になるのかも楽しみです。 

  • 偶然と出会いと努力の破天荒なフランス料理人三國清三の人生。
    貧乏からの逃避、鍋洗い、誰かがみてくれている、
    徹底的に調べて準備、これしかないと集中するときの
    すさまじい努力、ミシュランへの想い、自分のベースは何かを気付いた上で作り上げる独自性。
    ムッシュ・ジラルデ 悪魔、天才、その日の食材でメニューを決める
    アラン・シャペル:厨房のダ・ヴィンチ

  •  以前勤めていた会社の同僚の方が紹介していた本です。
     三國清三シェフの著作は、以前「僕はこんなものを食べてきた」を読んだことがあります。そのときも面白く拝読しましたが、本書は、ご自身のお店(オテル・ドゥ・ミクニ)を閉じるという大きな節目にあたって記した“自伝”とのこと、大いに期待して手に取ったのですが、語られている三國さんのエピソードは熱き情熱に溢れるもので、まさに期待以上の内容でした。

  • 面白かった。三國さんの半生が語られており、読み終わったら三國さんのお店に行ってみたい、料理を食べてみたいと思わせてくれる一冊。そしてかっこいいと思う。

  • 三国清三シェフによる半生記。増子で生まれ、中学校から札幌ホテル、帝国ホテルの鍋磨きとなり、軍縮大使付きコックとなったときのエピソードが語られる。誰もやりたがらない仕事しかできることがなかった、それを自分で進んで引き受けることで道を切り開いたという生存のための執念。クリシェ村のジラルデ、リヨン郊外のミヨネのアランシャペルに師事し、France中の三ツ星レストランを渡り歩くまでとなった。圧倒的なバイタリティと日本人のルーツを大切にするオリジナリティ、誰しもが真似はできない半生であり三国シェフの生き様な独自の輝きを持ち続けるのだろう。

  • 若い時の勢いがすごい。。

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著者プロフィール

1954年北海道・増毛町生まれ。15歳で料理人を志し、札幌グランドホテル、帝国ホテルにて修業後、74年、駐スイス日本大使館料理長に就任。ジラルデ、トロワグロ、アラン・シャペルなど三ツ星レストランで修業を重ね、82年に帰国。85年、東京・四ツ谷にオテル・ドゥ・ミクニ開店。99年、ルレ・エ・シャトー協会の世界5大陸トップシェフに選出される。15年、フランス共和国レジオン・ドヌール勲章シュバリエを受勲。

「2023年 『スーパーの食材が高級レストランの味になる 三國シェフのすご技絶品レシピ 永久保存版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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