なぜ私たちは存在するのか ウイルスがつなぐ生物の世界 (PHP新書) [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • ウイルス研究からいかにタイトルに繋げるのかと思って読み進めたら、SFや哲学的な考え、いや、もはや神の視点とも言える思想を披露!この考え好き。

    ウイルスは宿主のゲノムに自分の持つ遺伝子配列を挿入する事があり、
    挿入した細胞によってはその個体の全身に遺伝子配列を引き継がせる事もあり得る。そしてその子孫もコレを引き継ぐ。
    つまり、ウイルスは個体間、生物種間での遺伝子配列の伝播を担う機能と捉えられる。病気を起こすのが本分ではない!

    では生物種(生態系)は全体としてウイルスを情報伝播の手段とした一つの生き物として捉えるとこもできるのではないか。
    それどころか、生命を構成する元素、例えば鉄は超新星爆発により発生した星の残骸であり、宇宙誕生から150億年経った「今」、地球型惑星に生命が発生した事は必然なのでは無いか。

    凄い仮説だ。大好きだ。

    映画プロメテウスでも同じ様な仮説、生命の種は宇宙から来たというテーマが語られている。
    攻殻機動隊の原作漫画のラスト「生命は高度な情報パッケージングされたコスミックピース」というセリにも通じる。

    私も昔は生命の終着点や目的などを考えていたが、存在してるのは偶然で意味などないと納得していた。しかし、筆者はもっと広い視野での考察を提示している。
    説得力のある文章と研究で明らかになったウイルスの機能。
    私自身、もう一度生命の意味を再考してみようと思う。

  • covid-19が出てきてから、これまでより著者の本を含め生物学に関する本を更に多く読むようになった。ウイルスは遺伝、生物の進化にも大きく関わっており、生物に感染し、病原性を持つのはウイルスのほんの一握りの性質である。なぜウイルスが存在しているか、それが進化の過程でどのような役割を担っていたか、解明できていないことは多い。地球が生まれ、生命が誕生し、ミクロでもマクロな世界でも、生物と無生物が複雑な関わり合いの中で連綿と時は続いている。個にこだわり過ぎる世の中で、我欲や煩悩が強すぎることでかえって生きづらくなることもあるが、全体の流れの中でその個は単にその構成要素に過ぎない。「諸行無我」、個は単独では生きられず、万物から与え、与えられて存在している、その事を忘れるべきてはない。

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著者プロフィール

同研究所 細胞性物学研究部門 准教授

「2024年 『ウイルス共進化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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