土偶を読むを読む [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  土偶に独自の解釈をしてヒットした『土偶を読む』は研究としてはどうなのか。

     土偶の研究者達がそれまでの土偶研究や当時の植生や生活などなど全体的な知見を基に『土偶を読む』の問題点を挙げていく。『土偶を読む』は未読だが、なぜこんなものがヒットしてしまったのかという印象。
     さらに、土偶研究の全体像やなぜこの様な本が出てしまったのかの経緯などを多くの研究者が登場して説明している。ただの批判に留まらず、広く土偶をや今回の件を巡る全体像が書かれているのがこの本の良いところだろう。

  • とても面白い!必ず『土偶を読む』とセットで読みましょう。私は2冊を同時に手元におき、『土偶を読む』を読んだ後に本書を読みました。
    中心となる著者である望月さんがとても良かったと思います。第一線の考古学者、というわけではなく(でももちろん深い専門知を有しています)、『縄文ZINE』の編集長。一般読者と専門家との間を上手に取り持ってくれたように思います。

    最初の章の『土偶を読む』の検証も、面白おかしく読めました。望月さんの嘆きが間近で聞こえてくるようでした。特に、「『土偶を読む』を読んでいてちらちらと頭によぎるのは、これはもしかしたらギャグなのではないか、「ネタ」としてやっているのではないのか、と、そんなふうに思うことがある(p57)」という一文は、望月さんの「なんなんだよ、これは・・・・」という嘆息の現れでしょうね。でも、それがこちらもよく理解できるほど、『土偶を読む』の展開は酷かった。多くの考古学者の方がコメントすら控える、という姿勢を取ったのも、本書を読めばよく理解できます。

    いくつか論文形式で、かっちり書かれた章があり、縄文時代素人の私に取ってはちょっと苦しいところもありましたが、挟み込むように対話形式の章があったり、ネタの章(望月さんが『土偶を読む』の手法を使って土偶をネタ的に読み解いた章)もあったりと、楽しめる部分がうまく中和してくれていました。

    考古学だけでなく、現代社会においてもフェイクニュースや陰謀論など、必ずしも真実に基づかない言説が一部の界隈で支持されています。こうした情報に批判的に臨んでいくためにも、本書はとても有効だと思います。

  • ふむ

  • これは「土偶を読む」(竹倉史人)をどストレートに批判する本で、こういう本は今まで見たことがない。
    完全にメッタギリ状態です。

    『「農業消滅」を消滅させる』みたいな本を誰かさないかな?
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/499633288.html

  • 面白かった!!
    読んでいる間ずっと

    ♪忘れちゃいけないもし君が
    地図にない町を捜したきゃ
    初めに地図が必要だってこと♪

    っていう、さだまさしの歌の歌詞がぐるぐるまわりました。
    新しい考えを発表するときには、これまでの考えや歴史をきちんと踏まえたいもの。
    『土偶を読む』は読んでいませんが、メディアで取り上げられた時に、「なんだか『江戸しぐさ』みたいだなあ…」、と感じていたので、この本を読めて本当によかった。

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著者プロフィール

『縄文ZINE』編集長。1972年、静岡県静岡市生まれ。ニルソンデザイン事務所代表。書籍の装丁や雑誌のデザインを主たる業務としながら、出来心で都会の縄文人のためのマガジン『縄文ZINE』を二〇一五年から発行し編集長をつとめる。著書に『縄文人に相談だ』(国書刊行会/文庫版は角川文庫)、『蓑虫放浪』(国書刊行会)、『縄文ZINE(土)』、『土から土器ができるまで/小さな土製品をつくる』(ニルソンデザイン事務所)など。現代の縄文ファン。

「2023年 『土偶を読むを読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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