人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~ [Kindle]

著者 :
  • 技術評論社
3.92
  • (5)
  • (14)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 109
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (112ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「変化に対して管理やコントロールをしようとするのではなく、あるがまま受け入れつつ柔軟につきあっていくこと」 とはどういうことなのかを簡単にまとめた一冊。

    - ITエンジニアってなんで締切いつも曖昧なの?
    - 分担すれば速くなるんじゃないの?
    - 人を増やしたのになぜ遅くなるの?

    ソフトウェアエンジニアリングと他の工学でどのように特徴が違うのかがわかる。
    具体的なHOWなどはないので、どちらかというとITエンジニア以外がソフトウェアエンジニアリングに対する認識をどう持ったほうがよいかを知れる一冊になっている。

  • エンジニア以外の人に読んでもらいたい本。


    ・ソフトウエア開発は製造業と同じだという錯覚
    こう思ってしまう主要因はエンジニアはプログラミング言語で物を作るのが生業だという先入観によるもの
    実務の大半は研究者のような振る舞いに時間を費やしていることが多い
    優れたエンジニアほど、現実世界を理解しようとし、事業が実現しようとしているビジョンや会社のミッションに考えを巡らせる
    その機能がなぜ必要か?事業にとってどういう意味があるのかを整理した上で、最適な設計を考え始める
    設計は一度に仕上がるのではなく、レゴのように試行錯誤しながら組み上げていくため、研究開発の要素が強い

    ---
    1章 完成しても、終わりではない
      システムは使い始めてから改善が始まる
      なぜ、ソフトウェアなのに固くなってしまうのか
      プロジェクトからプロダクトの考え方に変える
       プロジェクトでは目的を達成したらチームは解散する
       プロダクトは関わる人は買えない。
       プロダクトを支える人たちも含めてプロダクトの価値


    2章 人を増やしても速く作れるわけではない
      2倍の予算があっても2倍の生産性にはならない
      遅れているプロジェクトに人を追加するのはやめて
      銀の弾丸はないが"金の弾丸"なら有効なときがある
      速く作ることはできないが、速く作れるチームは作れる
      チームの哲学や文化が揃っていることが大事

    3章 たくさん作っても生産性が高いとは言えない
      あらゆる状況を考慮するのに時間がかかる
      プログラムは現実の理解の上に成り立つ
      影響範囲に気をつけて、重複をなくすことも仕事
      同じソフトウェアを複数人で同時改修するのは非効率
      生産性は、手を動かした時間で測らない

    4章 人に依存せず同じ品質で作ることはできない
      ソフトウェアは一品モノ、1つずつ中身が違う
      外から見える品質と、見ることのできない品質
      エンジニアにしかわからないプログラムの美しさ
      クリエイティブな仕事の属人化を解決する

    5章 プレッシャーをかけても生産性は上がらない
      急がせたところで速く作ることはできない
      一時的な妥協は、永遠の負債になる
      作れば作るほど、生産性は落ちていく
      生産性が上がる仕組みを作ることは投資
      楽をするための苦労はいとわない

    6章 見積もりは求めるほどに絶望感は増す
      なぜ、正確な見積もりが出せないのか
      見積もりを守るためのバッファの功罪
      見積もりと約束が"受発注"の関係を作ってしまう
      事業側と開発側が"協働"の関係を築く
      「納品」をなくせばうまくいく

    7章 一度に大きく作れば得に見えて損をする
      プロジェクトが大きくなるとうまくいきにくいのに、なぜプロジェクトは大きくなってしまうのか
      ソフトウェア開発はギャンブルのようなもの、大きく賭けると大きく失敗する
      小さくすれば不確実さを下げられる
      小さく作って、大きく育てられるのがソフトウェア
      プロジェクトを小さくするために、作ろうとする機能の範囲を限定する
      不確実な未来を、少しずつ確実なものにしていく

    8章 工程を分業しても、効率化につながらない
      工程を分離しても生産性は上がらない
      猫の手を借りても生産性は上がらない
      プログラムは最も低い品質に引っ張られる
      ソフトウェアの設計はだれのものか

  • ソフトウェア技術者、あるいはソフトウェア開発プロジェクトの内側ではある程度の常識ととらえている、開発遅延、納期遅延に対して増員は解決策にならない、ということをソフトウェア開発のことを知らないビジネスパーソーンに向けて書いた本。

    初めてアプリケーションやサービスを発注する立場に立った人が、トラブルが起きた時に持つような疑問に対しての回答になる本。同じ手続きを多数行う事務処理や、多数の同一製品を作る製造業のような発想での解決策はソフトウェア開発ではむしろマイナスに作用するよ、という警告ともいえる。

    帯に書かれたような疑問を持った人に対しては有効な本だと思う。

  • エンジニアの自分からすると、とても共感できる内容だった。エンジニア経験のないPMやビジネス側の人たちにも読んでもらいソフトウェア開発に対する共通認識を持てるようにしたい。ただ、読んでもらうのも難しいと思うので、自分の言葉でこの本の内容を説明できるようになりたい。

  • P31 銀の弾丸はないが、金の弾丸なら有効な時がある
    P35 チームの哲学や文化が揃っていることが大事

    大小とわず組織にいるとどうしてもリスク回避・管理などの要因がでてきてしまいます、事業環境が変化しているのに、古いルールが運用されているなど、そのためにクリエイティビティが損なわれるような状況も多々あります、本書を読んで打開の糸口となるヒントがあったかもしれません。

  • ソフトウェア開発の世界ではそこそこ当たり前になっている人月の神話をわかりやすく書き下してくれている。サッと読めるのはよい。
    見積もりでなく見通しというフレーズはよかった

  • 非ITの人に向けてITの仕事を説明するという意図で書かれたとのこと。ごく真っ当なことが書かれており、まさに管理職、経営者に読んで欲しい本となっている。とはいえ、そういう人はあまりこの本を読まないだろうし読んでもあまりピンとこないかもしれない。
    そもそも、ふつうの会社の普通の仕事の進め方はこの本に書かれたこととマッチしない。経営者が考え方を変え予算の取り方を変えベンダーとの契約を変え、アレを変えコレを変えしないといけない。
    さらには自社が変わっても、自前で内製できる体制を作るのも採用・育成とも無理ゲーでありベンダーに頼めば、またそこでSIerの人月商売に巻き込まれる。。

  • 見積もりと約束が「受発注」の関係を作ってしまう

  • システムを発注する側が知っておくべきことが簡潔明瞭に記述されている。

    「技術的負債」

  • ページ数が少なく端的に書いてたこともあり、
    すぐに読み終わった。
    書かれてる内容はその通りだと思った反面、
    そうならないようにするのはなかなか難しい。

    とはいえ、観点として持っておき、
    当事者になったときに誤った判断をしないよう、
    自分自身に対して注意喚起出来れば良いと思った。

    【勉強になったこと】
    ・行き当たりばったりで改修したり、
     継続して開発することを意識せずに開発するから
     保守開発工数がかさんでしまう。

    ・タスクを分解するよりやったほうが早いし、
     分解しきれないタスクも多い。
     未経験者や有識者じゃないメンバーを追加しても
     上手く回らないのは上記理由から。
     ある程度の塊でタスク依頼が出来ないと、
     人を足したところでその人が暇になるだけ。

    ・ソフトウェアの内面を美しく保つことが、
     継続開発のしやすさにつながる。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

株式会社ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。1974年生まれ。京都府出身。小学生からプログラミングを始め、天職と思える仕事に就こうと大手システム会社に入社するも、プログラマ軽視の風潮に挫折。転職も考えたが、会社を変えるためにアジャイル開発を日本に普及させる活動を個人的に開始。会社では、研究開発部門の立ち上げ、社内SNSの企画と開発、オープンソース化をおこない、自ら起業すべく社内ベンチャーを立ち上げるまでに至る。しかし、経営の経験などなかったために当初は大苦戦。徹底的に管理する方法で新規事業はうまくいかないと反省。徐々に管理をなくしていくことで成果をあげる。最終的には事業を軌道に乗せて、その社内ベンチャーをマネジメント・バイ・アウト(経営者による買収)することで独立を果たして、株式会社ソニックガーデンを設立。ソニックガーデンでは、月額定額&成果契約の顧問サービス提供する新しい受託開発のビジネスモデル「納品のない受託開発」を展開。その斬新なビジネスモデルは、船井財団「グレートカンパニーアワード」にてユニークビジネスモデル賞を受賞。

「2023年 『人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉貫義人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×