「長いお別れ」の公認続編。
レイモンド・チャンドラーの後を継いで、それも「長いお別れ」の続編を書くなんてなんと無謀なチャレンジだろう。
物語はいきなり題名にもなっている「黒い瞳のブロンド」なる女性が現れる。
マーロウは彼女の依頼を受けつつも惹きつけられていることを感じる。
出だしからチャンドラーの世界観、久しぶりに新作で味わえることに嬉しくなった。
そこにフィリップ・マーロウがいる。
バーニー・オールズがいる。
リンダ・ローリングやハーラン・ポッターの名が出てくる。
そして、テリー・レノックスも。
ほんとうの意味で「長いお別れ」に決着をつけることになったラストはもう一捻り欲しい感じもするが、テリーとの別れはすでにマーロウの中では済んでいた。それは「長いお別れ」で描かれている。
だから、続編というよりかは後日譚と言った方がいいのだろう。
マーロウの新作を味わえた幸福を素直に味わいたい。