カミカゼの幽霊 ~人間爆弾をつくった父~ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • Audibleで視聴したが、ひたすらカミカゼを発案した軍人の戦歴の説明が続き、飽きてしまって途中で挫折。本で読めばまた違ってくるかもしれない。

  •  桜花発案者が終戦後、零戦で太平洋に向かい、その後消息を絶ったこと、生存説の囁かれていたことは知っていたが、生きて他人になりすまし新しい家庭を持ってその生を全うしたことは本書ではじめて知った。
     彼が悪人だったとは思わない。だけど戦中、戦後の各人の身の処しかたをみていると、「いいやつはみんな死んでしまった」と言いたくもなる。

  • 特攻兵器「桜花」を発案した男の数奇な人生を綴った本。桜花を発案した太田のことをテレビのNHK特集で知り、あの時は太田のことをとんでもないやつだ!と思っていたが、NHK特集は一部の取材によって構成され、太田は悪であるかのように論じきっていたことが分かった。本書は太田の生い立ちや彼を取り巻く人々の執念深い取材によって書かれている。太田の人生や特攻兵器「桜花」を俯瞰的に知るのに役立つ本である。

  • 初見の身にとっては衝撃的だが、太田氏が素性を変えて生きぬいたことは、NHK初めメディアでも報道された既知のようだ。
    氏が80代になっても自死を企てるまでに追い込まれた陰に、責任をとるべき人が英雄のように生き抜いたという。そのことが何とも許しがたく、やるせない。

  • 「桜花」の発案者・大田正一の人生を
    家族の側から描くノンフィクション。

    スミソニアン博物館で「Baka Bom」と展示されている。
    「桜花」はグライダー状の飛行機で大型の戦闘機にぶら下がり目的地で切り離され、体当たり攻撃をする特攻兵器のひとつだ。

    桜花は知っていたけれど、一介のそれも特務士官が考え出したものだとは知らなかった。
    大田正一の名も初めて知る。

    しかも、この大田は偽名を名乗り、戸籍もないまま、
    戦後を生き、80余年の人生を全うしたそうだ。
    家族は父であり夫である人の生き様を知らなかったという。
    父の死後数十年経って、息子が著者に連絡をとったことから父の足跡をたどるというのが本書。
    NHKの番組で放送もされたそうだ。

    正直、Wikipediaに書かれた大田正一の内容は厳しい。
    実際、著者らが訪ねたときも、そういった反応をする人が多かったようだが・・・

    戦争がひとりの、ちょっと目立ちたがり屋の男を追い込んでしまった・・・
    もともとの妻子を顧みなかったことなど
    決して許されることではないだろう。
    それでも、そのおおもとはと考えると、切ない。

    しかも、コロナ禍を経て、正一の遺族も・・・
    戦争の重い傷を受け止めたがゆえといえるのではないか。

    やるせない。

    知らないことばかりの自分。
    知ったところで何もできないとわかっているけれど、
    今が「最後の戦前」になりかねないからこそ
    きちんと戦争について知っていきたい。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家・写真家。1963年、大阪府生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、1986年より講談社「FRIDAY」専属カメラマンを務め、主に事件、政治、経済、スポーツ等の取材報道に従事。1995年、元零戦搭乗員の取材を開始、以後25年の間にインタビューした旧軍人、遺族は500名を超える。1997年からフリー。著書に『零戦の20世紀』(スコラ)、『零戦最後の証言1/2』『零戦隊長宮野善治郎生涯』『零戦隊、発進! 』『撮るライカI/II』(いずれも潮書房光人新社)、『祖父たちの零戦』『証言・零戦』シリーズ全4巻、『零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争(NHK取材班と共著)』『図解・カメラの歴史』(いずれも講談社)、『戦士の肖像』『特攻の真意(旧版)』(いずれも文春文庫)、『一生懸命フォトグラファー列伝』(日本写真企画)など。映画やテレビのドキュメンタリー番組の監修も手がける。

「2020年 『特攻の真意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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