わっしょい!妊婦 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 周りに出産する同世代が少しずつ増えてきて、そもそも自分が子供を欲しいのか?欲しくないのか?いつまでに決断するべきか?というのが、全く分からないと問題意識と焦りを抱えていた時にふとSNSでオススメ本として紹介されているのを見てすぐ図書館で借りて読んだ。

    妊娠、出産について著者の経験を綴ったエッセイ本で、いち妊婦かついち女性としての心理的な変化しかり、身体的変化しかり、さまざまな事がらを書いている。妊婦の時に気づく社会の不寛容さについても触れながら、リアルに、時に情熱的にそしてクスッとくるような表現で書かれていて、いまの私が必要としている本だった、今読んでよかったと思った。

    経験者の語ることは、いちケースとして「こういうこともあるんだ」とか「その不安を感じてるのは私だけじゃなかったんだ」と安心感をもらえるし、逆に、シンプルに別の意見・価値観を聞くことで自分の立ち位置を理解するのにも参考になった。

    自分の気持ちや考えと向き合うためになったことはもちろん、そもそも妊娠・出産について基礎知識や必要な手配などなど全く持って知らなかった私にはよく勉強になった。

    そういった悩みや需要を持っている人にはとっかかりとしてオススメできそうな本!

    (けどやっぱり、医療発展によるリスクは大幅に減っているだろうものの、出産を終えるまでの女性への身体的負担や前後での変化は自分が想像している以上なのだと思ったし、そのリスクを追ってまで、また社会の不寛容さによる大変さをもってしても、それ以上に子供が欲しいと自分は思う日が来るのか、もっと分からなくなってしまった。)

  • 私は現在(2024.05.8)妊娠をしており、うまくいけば、あとひと月半ほどで子が産まれる予定ではある。

    妊娠をした時は、戸惑いの方が大きかった。
    私は私で、妊娠したというだけで、中身は全然変わっていないのに、周りが「母」「一般的な家庭を望んだ人間」に私を扱うように思えたからだ。

    多分本当は、そんなことはなくて、そんな見方をしていたのは、過去の自分なのだろうけども、これから諸々変わりゆくことに、不安しかなかった。
    …うーん、言葉が足りないな。私は子のない生き方もとても幸せだと思うけれど、いざ自分に子ができた状況と自分の存在自体が、それを否定してるみたいに捉えられているようで戸惑いを隠せなかったというか。

    動画やら、身の回りの経験談やらを聞くにつけ、私は覚めてるのかもしれない、と思う。でもその経験談を聞けば聞くほど、案外望んでも得られないケースだったり、子を持つことにものすごくプラスのイメージを持ってる人が多かったりで、自分の気持ちを正直に言えば敵しか作らんだろうと、黙るしかない。

    ただ、じわじわと大きくなり、ポコポコお腹の中で動く中の人に、私なりに温かな思いを寄せていることだけは、嘘ではない。

    自然妊娠で超高齢出産になる。「高齢出産なんて親のエゴ」という意見もあるが、子を産むこと自体、親のエゴだろが!と思う。でもこれから、子に何かあれば「高齢出産だから」と思われるかもしれないのが、面倒だな、と思う。

    1人で生きてくことに、満足していた。誰がなんと言おうと、わたしは幸せだった。孤独であることさえも。ただ、歳を重ねるにつれ、自身がワガママになるのを感じていて、それはこの先、自分のやりたいことだけ、好きなものにだけ囲まれて生きていたら、加速していく一方だろうと、思った。
    …なので、というだけではないが、「予測不能の係数」を、自分に掛けてみて、もう一度学び直してみようと思ったのが、今の状況を作っている。



    さて。前振り長過ぎ。感想だ。

    この作者に、共感することもあったけども、なんだろうな。妊娠という内容に、客観性を持たせるのは難しいのだろうな、という印象。

    妊婦脳で何にも深く考えられませーん、という弁解が何度も出てきて、本当に?と思ったり(なぜなら私は、自分はそんな感じしないから)、旦那に当たり散らすことをホルモンのせいにしたり(私は自分の感じる範囲で…パートナーに生理前のようなわけのわかんない言動はしてないと思う…。通常運転)…。食欲然り。私はずっと、胃の圧迫感を感じていて、あんまり食べられない。妊娠を言い訳に食べたいもの食べたいだけ食べるぞー!とものすごい量を食べてる描写は羨ましい限り(ただ私の場合、赤ちゃん小さめと言われ、頑張って食べてみたところ、子が急激にデカくなるわけなく、自分の身体がだぶついて動きたくないダレた思考になっただけだったので無理して食べるのをやめてしまった。でも子は順調に育っている)

    私よりも恐らく自己肯定感が高めで、はっきり自分の主張は正しいと言える人なのだと思う(…まぁ、そうじゃなかったら、この本出版しないよねぇ。)テンション高めですごい行動力の人だなと思うけれど、妊婦の数だけ妊娠の仕方や感じ方が違って、これはその中の例に過ぎず、筆者もそこに言及はしてるけども、その割にやはりその一体験を、大きく膨らませて書いているんだな、と思ってしまって…その誇張感があまり好きになれなかったな、という感じ。


  • いやぁわかる。
    私も妊娠中、自分が女性であることをすごくネガティブにとらえたりもしたし、今も女性であることによる弊害について前より深く考えるようになったな。
    そして、エコーで子どもの性別が判明する時には、「女の子だったらかわいそうだな」と思ったんだけど、同じ人いた…!ということにちょっとほっとしたと同時に、いやぁそんなこと思う人が一定数いる社会って…と暗い気持ちになったりもした。

    小野さんの夫がとても協力的なのが伝わってきて非常にほほえましいし、仲良くていいですねぇとなった。まぁもちろん喧嘩もしてるし、お互いにそれなりに嫌な部分もそりゃあるんだろうけど。

    京都まで行って助産院で産もうとしてそして…!!というのも衝撃だったが、お産って本当、それぞれにドラマだよなというのを思い出した。

  • ただの女から「母親」という生き物になる違和感、マミートラックに乗せられる女の生きづらさ、人生の選択…などなど。妊娠することに対して幸せだけを感じる人は読まなくてもいいけど、少しでも不安や違和感がある人にはおすすめ。

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著者プロフィール

●小野美由紀(おの みゆき)
 文筆家。1985年生まれ。創作文章ワークショップ「身体を使って書くクリエイティブ・ライティング講座」主宰。著書に『路地裏のウォンビン』(U-NEXT)、『傷口から人生。〜メンヘラが就活して失敗したら生きるのがおもしろくなった』(幻冬舎)、『人生に疲れたらスペイン巡礼~飲み、食べ、歩く800キロの旅~』(光文社)、『ひかりのりゅう』(絵本塾出版)、『メゾン刻の湯』(ポプラ社)、『ピュア』(早川書房)ほか。

「2021年 『雨は五分後にやんで 異人と同人Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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