創造性はどこからやってくるか ――天然表現の世界 (ちくま新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「創造性について」という書籍にはビジネス書に近いものや、脳神経科学からそれを見つめるものが散見されるように思うが
    本著は門外漢の生物学者が、そのバックグラウンドを活かしつつ芸術とは何かを掘り下げるというもので良くも悪くも想定外だった。

    軸とする「天然表現」という概念については、他の著作で取り上げているようなのでいずれ手に取ってみようと思うが、
    「芸術とはなにか」をメタ視点で創造性の観念に繰り上げた上で、それを消化する為にさらにメタな視点が述べられているような感覚で、(一般人が知るような著名な作品よりはるかに抽象的な、近代的と呼ぶべき?)アートに不得手な自分としては根本的な発想の転換を促されるようなベクトルの重みを感じたじろぐばかりであった。

    観念的な問題を研究の対象として述べる専門書じみた章を於いておくと、得体のしれない動力が主人公を突き動かしている様は、彼のライフヒストリーを交えつつ語られる中で、芥川賞作家の境遇と作品への縺れ具合のような、エンタメ性を遠ざけた文学的な趣すら感じられた。

  • 肯定的矛盾と否定的矛盾の共立、すなわちトラウマ構造こそ「完全な不完全体」を創り出す明確な方法であり〜…といった話を目を白黒させながら読んだわけだが、チョイチョイ挟まる自作の美術作品の解説のお陰で微笑ましい気分で読めた。
    現代アートについてはあまり鑑賞経験がないので分からなかったものの、小説読みとして読者は読書を通じて創造している、という指摘は成程と思った。
    しかし、「愛でる」が「やってくる」ことで人は腐女子となる、ほんとに??散々語り尽くされたはずの天然表現について最後に一層分からなくなってしまった…

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著者プロフィール

郡司ペギオ幸夫(ぐんじぺぎおゆきお):1959年生まれ。東北大学理学部卒業。同大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。神戸大学理学部地球惑星科学科教授を経て、現在、早稲田大学基幹理工学部・表現工学専攻教授。著書『生きていることの科学』(講談社現代新書)、『いきものとなまものの哲学』『生命壱号』『生命、微動だにせず』『かつてそのゲームの世界に住んでいたという記憶はどこから来るのか』(以上、青土社)、『群れは意識をもつ』(PHP サイエンス・ワールド新書)、『天然知能』(講談社選書メチエ)、『やってくる』(医学書院)、『TANKURI』(中村恭子との共著、水声社)など多数。

「2023年 『創造性はどこからやってくるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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