これまでに出版された三冊の小説『北』(二〇〇九)、『純真な人々』(二〇一一)、『イスタンブル・イスタンブル』(二〇一五)はそれぞれに趣向の異なる小説だが、いずれも「物語の中に物語」方式の、クルド文学、あるいは中東の文学作品ではおなじみの、物語の中心がいくつもあるような、読者を混乱に陥らせながらも、魅了してやまない小説たちである。二作目にして当時として最年少(四十六歳)で、国内の文学賞であるセダット・セマーヴィ文学賞を受賞している。
「2017年 『あるデルスィムの物語 クルド文学短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」