久米宏です。 ニュースステーションはザ・ベストテンだった (朝日文庫) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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  • 40代以上の方なら、久米宏さんと聞いたら「ニュースステーション」や「ザ・ベストテン」を思い浮かべる方も多いのでは。本書は久米氏がラジオに始まり、テレビ界へ進出、そしてテレビ界に名だたるこれらの番組出演に至る経緯を自ら述べた自叙伝です。
    久米氏はTBSアナウンサーとして入社。ラジオからそのキャリアをスタートさせます。音声のみで情報を伝えるラジオだからこそ、「どうすればラジオの前で聴いている人に伝わるか」を考え抜き、それが後にテレビに舞台を移したときに役立ったとのこと。ラジオは「音声だけ」に対し、テレビは「映像の隅々」までが放送に乗るため、「ニュースステーション」ではスタジオの奥行や背景、自身が解説時に持つペンの色とその時の衣装の色とのコーディネイトにまで神経を配ったとか(他にも細かい拘りがいくつも本書で紹介されています)。
    「ザ・ベストテン」「やニュースステーション」立ち上げ時の舞台裏、放送開始間もないころのアクシデントの数々、など読んでいて夢中になってしまいました。「中学生でも理解できるニュース番組」をコンセプトに掲げられた久米氏。その当時中学生だった私は、「ニュースステーション」で初めてニュース番組を視聴するようになりました。久米氏はテレビにおいて編集などを経ない「生」に拘ります。だからこそ「ザ・ベストテン」では出演タレントが移動中の新幹線から歌ったり、ランキング上位の歌手がスケジュールで出演できなかったりという事が起こるのですが、それがかえって臨場感を高めていたようです(私自身もそういうシーンをいくつも記憶しています)。
    これだけのキャリアのある方が、”あの”番組の舞台裏を語るとなれば、文庫本300ページ超のボリュームでは勿体ないと感じるぐらいで、この1.5倍~2倍ぐらいにしていただいても読めたのではないかと感じます。その分、各章、各節が簡潔にまとめられ、テンポよく話題が展開されていきます。まるで「ニュースステーション」キャスター当時の久米氏の”しゃべり”の展開のテンポの良さそのままという印象です。”話す”だけではなく、”書く”ことでも人に何かを伝える天賦の才を感じさせる1冊です。これらの番組を生で視聴していた方であれば、読んで損はないと思います。

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