呪いを解く者 [Kindle]

  • 東京創元社
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感想・レビュー・書評

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  • フランシス・ハーディングの翻訳としては5冊目。
    これまでの翻訳されたものが主人公(女性)の心に燻り続ける怒りを表現していた事に対して、今回は少年と少女という二人の主人公を配置し、それぞれが怒りというものへの対応がまるで異なっていることがとても新鮮だった。しかも少女の方も今までの作品の主人公達のように自らの内側にある感情を言語化するのではなく(小説上は神の視点から地の文で語られるのだけど)、何故その内側に何かがあるのかわからずただそれを見つめないようにしている。一方で少年は怒りは咀嚼され言語される前に爆発して吐き出してしまう。これまでの主人公達が自らの内側から目を背けるなかったのに対して、今回の主人公達は向き合わず、すぐに爆発させるか見ぬふりをしてしまいその事が彼らを苦しくさせている。
    最終的にはそうした感情の解放の物語ではあるのだが、今回は主人公が二人いる事もあって解放だけではなく、共にある慰めの様なものが感じられて、独りで立つ事よりも抱き合う柔らかさのようなものに重きを置かれている気がした。実際、翻訳順は前後しているのだが、この本の前に書かれた「影を呑んだ少女」は少女が主人公ではあるものの一緒に旅をする少年とのやりとりが多く出てきていて、著者が独り→共にある者という描き方へと変化していっているのかもしれない。
    この小説ではですね、ゴールのスピンオフ書いて欲しいなぁと思いました。
    謎の男だよ、ゴール。

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