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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (549ページ)
感想・レビュー・書評
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素晴らしい本に出会いました。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中、イスラム教徒によって守られた、ユダヤの実在する書物「サラエボ・ハガダー」の遍歴と謎を過去に溯りつつ解き明かして行く物語。第二回翻訳ミステリー大賞受賞も頷けます。ここ数年で読んだ本の中でも、ベスト級です。
実在する書物の歴史から、空想を膨らませて物語として紡ぐ力、ハガダーの謎を解き明かすだけでなく、折々でハガダーに関わり合った人間の物語として描いている所が、何よりも素晴らしいです。又、ユダヤ人の書物をイスラム教徒が守ったという事(事実を元にしています)だけでも、今まさに、読むべき本で有るとも思います。
物語は、古書鑑定家であるハンナ・ヒースが、「サラエボ・ハガダー」を修復する中で見つけた謎を世界各地に飛びながら、解明して行きます。そこに作者の過去の創作エピソードが間に入る構成となっており、ユダヤ人の過酷な歴史が綴られて行きます。
1940年サラエボ、かなり強烈です。少女ローラはこの後、どうなってしまうのでしょうか?
1609年ヴェネツィア、最後に、とんでもないどんでん返しが待っています。
1480年セビリア、ついにハガダーの絵の作者が、明らかになります。そして、その正体に驚きます。
途中、ハンナの生い立ちの謎が明らかになったり、ハガダーのすり替え疑惑も発生します。
最後までページを捲る手が止まりませんでした。
☆4.9詳細をみるコメント0件をすべて表示
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