なれのはて [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 直木賞候補にならなければ読んでいなかった作品。イベント事業部へ左遷された元報道マンが、謎に包まれた無名の天才?画家の展覧会を開催するまでの約1年間の物語。

    後輩の祖母の形見の一枚の絵にまつわるある石油化学会社の創業家の事件・失踪、それが、日本の戦前・戦後の歴史にも及び、また、主人公の報道マンとしての矜持や先輩から託される思い、自身の恋愛や家族のこと、後輩親子の関係の不和などテーマで物語がドンドン膨らんでいき、どう展開していくのかと不安になった。

    しかし、最終的には、全ての伏線が繋がっていき、後輩・吾妻の言葉を借りると「こういうものに出会えた自分はとても幸福」と言える小説でした。

    「正しさは振りかざすだけの矛ではない。他者を守るための盾でもある。」主人公の再生と成長の物語でもある。

  • 初めて加藤さんの小説を読んでみました。
    想像より遥かに重厚でした。
    ただ詰め込み過ぎな気がしました。

  • 「オルタネート」は道半ばですが、こちらの作品を読み
    成長を感じた。
    一読者の感想としては沢山の登場人物を表現し過ぎて、「玉石混淆」になった気がする。
    もっと、脇は薄く、主役級は濃く、繋がりを持たせてほしかった。途中で読書が楽しくなくなり、苦しくなった。

    令和の今、明治、大正、昭和、平成の人達の考えや行動は奇妙に感じるところは多々ある。そんな時代背景を上手く表現できたら、もっとよかったかも。
    殺したい人の子産むという考えは?をどう消せるか。

    最近、発達障害の人の接し方、治療がだんだんわかってきた気がします。治せる機会を失うと治せないのかもしれない。今日の電車の中を走り叫ぶ彼がいる。接し方が誰も分からず無言。

    できれば、空想の話なので、発達障害の人が段々、普通の人になった展開がよかったなあ。

  • 話の構成、キャラクター、各時代の考証全て綿密に作られていると感じた作品。文章内で用いられる比喩表現も熟練されていると感じる。

  • 《キーワード》
    絵画 展覧会 報道局 イベント事業部 石油 油田  第二次世界大戦 土崎空襲 秋田県 自閉症スペクトラム ミステリー 

    ‪《心に沁みたフレーズ》‬
    ‪正しさは振りかざすだけの矛ではない。‬

    《感想》
    ‪400P超で読み応えあり。‬
    ‪現代と過去を行ったり来たりする構成。‬
    ‪複雑な人間関係と時代背景。‬
    ‪昏い回想が多かったけど、最後まで読んで良かった。感動。

    ‪え、どこかで見た名前だと思ったら著者ってNEWS(元ジャニーズ)のメンバーなのか!‬

  • ふむ

  • 1枚の絵から始まる運命のミステリー。話の展開、それぞれの人間模様に心を揺り動かされる。1本の映画を観たような感覚、ぜひ映像化してほしい。

  • 本文~「何もかもを暴き、公表することが正しい」と思ってきたが「何かを守ることも報道の役割」~、これは他でも同じ、誰にでも墓場まで持っていく出来事があるのではないだろうか。結局、大切ななのは「今」の話。
    重い話が続いたが、最後は気持ち良い終わり方で良かった!生きてさえいれば良いことがある。

  • 加藤さんの文章はとても読みやすくて好きです。
    読後感も良くてGoodでした。

  •  100年に及ぶ長大な大河小説のようなミステリー。若い著者の力作に拍手を送りたい。TV局の報道部からイベント部に異動した主人公の守谷京斗が同僚の吾妻李久美から誘われ彼女の祖母の遺品・無名の画家イサム・イノマタの1枚の絵画から、この作家の展覧会を計画することからこの話はスタートする。そしてイサムの著作権が50年か70年か、その境目になる日1967年12月31日の秋田での不審火による猪股傑・猪股石油産業社長死亡事故の謎を追いかけていくことになる。傑の弟・勇はその日から行方不明で、失踪宣告がなされていた。この事故を追究していく上で傑の養子・輝、秋田の警察官・長谷川勉、猪股社の副社長・赤沢寅一郎などから話を聞き、過去の様々な時点での猪股家に関係した人々のことが明らかになり、ストーリーはその時代に戻るという巧みな構成だった。謎が明らかになる中で、一人の忘れ去られている重要な人物が浮かび上がってくる。
    「なれのはて」という題名は、実は石油が生物の死骸が長い年月を経て蓄積して生まれたのもだという説明がなされており、この謎にも関係の深いものだった。
     最後は展覧会の場面でハッピーエンドになるのだが、途中の残酷な場面は少し展開に無理があるように思った。

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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