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感想・レビュー・書評
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Googleの中国撤退について中立的な立場で語った文章。メディアで報道される情報としては正しいが、書籍化される情報としてはおもしろみに欠ける。書き手の見解が表現されていないと、書籍として読む楽しみはない。
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中国と google の関係については、2010 年 8 月の現在でも通用する、よくまとめられた分かりやすい解説だと思う。
だけど「インターネット」の枕詞としての、下記文章に疑問がある。
>アメリカ西海岸で1970年代に盛り上がったヒッピー文化を受け継ぐインターネット
これは、佐々木氏のみならず、20 世紀末期に青春を送った人たちが、ついつい語る言葉のように思えるのだけど、本当の事なんだろうか。
インターネットが商用利用されるようになった瞬間から、ヒッピー文化の牧歌性とは縁を切ったと見るべきじゃないだろうか。
ヒッピー文化が何なのかは、実は私には分からないんだけど、それは恐らく「フリー」という概念と密接に関わっていると思う。
そこには「誰が誰に対しても、好きなことが言える」という意味の自由も含まれるだろうし、匿名発言の自由もあるはずだ。
だけど、商用プラットフォームとなったインターネットには、その手の自由を無条件に認める余裕は無い。
だって、自分の氏名や住所を明かさないまま、ピザの出前を取ったりしたら、迷惑だし。その前に犯罪だし。
野放図に話を広げちゃうと、アマゾンで他人のカード番号で買い物してもいけないし、他人の垢でネトゲにログインしてもいけない。
これは、ユーザの自発的なマナーの問題だけではなくって、システム側の身元確認や詐称防止のしくみの実装をもたらした。
これって、ごく一部の有償サイトの話だ、っていう切り分けが出来るのかもしれないし、出来ないかもしれない。
でも私は、そういうしくみの追加というのは、インターネットの大きな部分に変質をもたらしたんじゃないかな、という気がする。
なんだかんだ言っても、Adrian Lamo は Bradley Manning を FBI に売り飛ばしちゃったしね。
やっぱ、21 世紀にもなって、「1970年代のヒッピー文化を引きずってますよ」というワケでもないと思うんだ。