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- / ISBN・EAN: 9784000284943
感想・レビュー・書評
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普通の「旅」の本としてもこれは読むことはできるだろうが、恐らく(誠に残念なことだが)そのような目的でもって、この本を読む人はいないであろう・・・。多くのこの本の読み手は、社会学者真木悠介の仕事の一つとしてこの本を受容しようとするだろう。僕もそうであったけれど、しかし、それだけではとてももったいない内容であると思う。とてもみずみずしい、きれいな文章が随所に散見され、本当に素晴らしい一つの「旅」の本であると僕は思うからだ。
学術書とか社会学の本でなく、単に「旅」の本としても本書は十分に読めるだろうし、そのように読むべきであるようにも思える。
「狂気としての近代」「方法としての旅」は、僕の新しい旅の本のバイブルになった。『気流の鳴る音』と並ぶ大傑作だと思う。
「ぼくはこれからも、ときどきはひとりの旅をしないではいられないだろう。この度しがたい遠心力——共同性から自己を解き放とうすとする遠心力が、どこから来るのか。ぼくの個的な生活史のゆがみからなのか。近代的自我の狂気か。男と言う存在そのもののいびつさなのか。あるいはそれらを垂直にさしつらぬく構造性か。人類は進化の路を誤った。人間は本来的に精神分裂症なのだ、という思想家もいるけれど。」(p.167)詳細をみるコメント0件をすべて表示
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