大正に書かれた作品の、空気の褪せなさは尋常じゃないなあ。凄惨さ、残忍さ、恐怖や狂気のセンセーショナリズムは、現代の感覚では物足りないくらいの触れ幅なのに文句なく引き込まれる。古めかしい言葉なのに有り余る表現力とキャラクター性、簡潔で過不足ない文章が心地よい。人間椅子なんて表題で、どんなスプラッタかと想像してしまったけど、陳腐な想像を裏切る発想たるや。その変質性とありえなさとあり得そうさを生み出してしまう語りが圧巻のキモオモシロイはなし。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年11月24日
- 読了日 : 2015年7月8日
- 本棚登録日 : 2014年11月27日
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