ああ、あの頃の川西蘭が帰ってきたみたいなすばらしいファンタシー。そう、ボーイ・ミーツ・ガールというのはファンタシーなんです。
だから、主人公とヒロインの家族関係があれもこれもと都合良く云々というのが、「リアリティに欠ける」だなんて思っているなら、それは的外れ。
彼らのお育ちの良さみたいなものについても同様。いいんですよ、それはそのままで。ここでは、謂わば乗り越えるべきトラブルさえも、素敵な物語のためのデコレーションのようなものです。
とはいえ……
それこそ、春一番が吹くまで、とか、パイレーツによろしく、なんてころの主人公たち、ナイーブという言葉が意味するところについて、具体例を挙げよという問いの模範解答みたいな彼らとはずいぶん変わって、健全ではあるけれど、愚かでは無くなったし、傷つくから価値があるだなんて倒錯もなくなったようで、それは一方では作品としての巧みさだけれど、もう一方では、時代の進展によるスマート化みたいなところかな?とも思います。
そのせいで、慎一も奈津美も、えらく大人びて見えるかも知れませんが、存外、中高生だってずいぶん大人なものです。
とはいいながら、ラストの場面、ニヤニヤしてしまう割に、さて、本当のところ、奈津美の気持ちってどうなのかな?とか言っちゃったら、後味悪いですかね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年2月23日
- 読了日 : 2013年2月23日
- 本棚登録日 : 2013年2月18日
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