著者はアメリカ留学時代にシカゴ選出民主党下院議員事務所でスタッフとして働いていた。
それもあるであろう、この本本体は大統領就任直後のオバマを一貫してポジティブに捉えている。本体と文庫版まえがきと増補章に垣間見得る一種の失望との比較も興味深い。
当時オバマに共感したアメリカ人、そしてオバマは、オバマを選んだアメリカ人はアメリカを世界を変えて行くのではないかと期待したアメリカ人以外の人々は期待が大きかった分だけ失望も感じたであろう。
オバマ自身はどう考えているのだろう。忸怩たる思いでいるのか、はたまた世の中はそうドラマチックに変わるもんじゃないよ、と達観しているのか。
文学者・哲学者が大統領を務めた時は過ぎ去り、ビジネスマンが大統領を務めた時も終わった。コロナ禍とそこからの回復が至上命題の今、政治家を大統領にしたアメリカはベターな選択をしたとは思う。次はどうなるか。
オバマの前半生を縦軸とすると、それぞれの章での主なトピックが横軸。この横軸が縦軸より面白いかも。
インドネシア、ハワイ、文学、オーガナイザー(組織をつくりあげる)、教育者、政党。それぞれがアメリカ(とインドネシア)の一段面を描き出していて、読ませる。
紀伊国屋書店天王寺ミオ店にて購入。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年7月3日
- 読了日 : 2021年6月20日
- 本棚登録日 : 2021年7月3日
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