ノルタルジックな昭和の恋愛作品写真。思春期の繊細で脆い心理描写や現代からすれば不便にすら感じる社会での恋愛模様が爽やかに書かれていて、読後は後味の良さを味わえました。
東京から訳アリで高知に来る里伽子は容姿端麗で頭脳明晰ながら、田舎を小馬鹿にし、協調性に欠ける態度をとるといった要するに面倒くさい人物ではありますが、実はかなり繊細で不安定であるという実に人間らしいキャラだと思います。そうした里伽子のことを心に留めておいてしまう杜崎拓の気持ちが少しながらわかってしまう人もいるのではないでしょうか。
連絡に家の固定電話を使い、本屋で慣れない新天地の地図を買って、コミュニケーションは声でしか行えないやや面倒な時代に、互いに不器用さを隠しきれないながらも次第に心通わせていく面倒な恋愛模様が私は好きでした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年4月11日
- 読了日 : 2023年2月10日
- 本棚登録日 : 2023年2月10日
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