Geek(技術オタク)のためのキャリア形成と、生き方の指南書。
こう書くと、マニアックな技術的指針の本という印象を持つと思うけど、内容は技術者だけではなく、全ての職業人に普遍的なものだ。
キャリア形成
転職
面接
待遇の交渉
愚かな上司への対処
面白いのは、単なるハウツー本ではなく、かと言って抽象化された綺麗事でもない。
生々しい現実体験で培われた経験則で、おそらく実務経験が5年以上ある人なら、とても分かる内容だと思う。
技術者としての本書の評価は、他のエンジニアがすると思うので、僕がとても印象的だった一節を紹介する。
作者は文中で、職業人にとって重要な能力として
「ストーリーを作る能力」
を何回もあげている。
面接で面接官が知りたいのは、質問に正解する事ではない。それはペーパーテストで出来る。
与えられた命題(質問)に対して、手元にある材料から、物語を構築できる能力を知りたいのだ。
プレゼンで観客が知りたいのは、スペックではない。
エンターテイメントとしての物語の提示だ。
物語は「作り話」ではない。
事実(fact)と事実(fact)を紡ぎあわせ、関連性の筋道を見つけ出す事だ。
僕は、この能力は、人間の最も高度な知的能力だと思う。
写真という表現の世界でもそうだ。
撮影したフレームの中にポイントを見出しているフォトグラファーの写真には、ベクトルが発生し、ベクトルは道を残し、そこに様々な事実が集まり、物語が出来る。
写真の品質に正解はないが、僕は「ポイント」を見つけている写真が、良い写真だと断言出来る。
ギークだけでなく、様々な職業人、あるいは「なにかを作る人」が見て得るものがある内容だと思う。
- 感想投稿日 : 2019年1月17日
- 本棚登録日 : 2019年1月17日
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