新美南吉童話集 (岩波文庫 緑 150-1)

制作 : 千葉俊二 
  • 岩波書店 (1996年7月16日発売)
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本棚登録 : 439
感想 : 37
5

とてもに美しい物語の数々。日本の原風景なんていう安っぽい言葉で表すのは気が引けますが、かつての人びとの暮らしや擬人化した動物たちの生活が豊かに描かれています。そしてその中に、本当に繊細な心の動きが表現されていて、これもまたチープな言い回しですが、なにか忘れていた気持ちがよみがえる気がします。

例えていうならば、よく晴れた日に干した布団のようなふかふかの、そういう物語であり、またそれを読む側もそういう心持ちにさせられます。

新奇な技巧上の試みがあったり、社会に対する鋭い批判の眼差しがあったりするわけでは決してありません。文学の価値が、そういったものだけで決まるわけではない、ということがよくわかります。

気持ちよく本を閉じることができる、そういう名作が詰まっています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年3月21日
読了日 : 2019年3月14日
本棚登録日 : 2019年3月21日

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