祖父が名医、父も家業を継いだ邸宅を相続したことから、明日香の心境に変化が訪れる。タイトル「不在」の意味を考えた時に「伽藍堂」という言葉が脳裏何度も浮かんだ。映像化を念頭に入れて作品を創作したのかは不明だが、脳内劇場が始まっていた。売れっ子の漫画家の明日香が、役者志望の冬馬を若いツバメのように養っているが、パートナーというよりペットのような扱い。そんな傲慢な主人公に嫌悪感を抱かないのが、彩瀬まるの技量なのかもしれない。作家と同棲する男性の物語に既視感があって、読み終わってからから角田光代『私のなかの彼女』だと思い出した。そういえば税理士が出てこなかったのが不思議。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年8月29日
- 読了日 : 2018年8月28日
- 本棚登録日 : 2018年8月28日
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