ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。 (14歳の世渡り術)

  • 河出書房新社 (2012年5月19日発売)
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本棚登録 : 627
感想 : 77
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なかなかに深く、幅広いブックガイド。様々なジャンルの著名人の方々が紹介する本は、濃く独特。14歳向けにしては難解な本も多数あるが(齢40の現在でさえ難解と感じた本も幾つかあり)、もし自分が14歳でこのブックガイドに出会っていたら………
意外とそれなりに面白がって読んだかも。
思い起こせば14歳の自分は、結構頭でっかちな子供であった。なので、本書のトップバッターの角田光代さんが述べていた以下の文に激しく共感。
「学校にかよっているあいだは本当に忙しいはずなんだけど、今思い出すと圧倒的にひまだった。(中略)ドストエフスキーもトルストイも高校生のときに読んだ。きっと意味なんかわからなかったと思う。でも、理解した気になって懸命にあれこれ考えた。」
私も全く同じで、中高にかけて国内外の古典純文学を貪り読んだ。マンガも、竹宮恵子や萩尾望都、山岸涼子などの24年組に傾倒した。正確に理解できたかはともかく、「読む体力」があったのだ。年を重ねると、読書傾向は楽な方に流れる。自分の好きなジャンルばかりになる。振り返ると、10代の頃にあれこれ果敢に挑戦してきてよかったと思うのだ。むしろ、もっと幅を広げてもよかったかなとさえ感じる。
不惑を迎えた今でさえ、知らないことってこんなにたくさんあるのか…身体は衰え始めても、精神はまだまだだ…と本書を読んで痛感した次第である。印象に残ったのは「カイジ」、「火の鳥」、「冒険者カストロ」、「タブーの正体!」。如何にもこの人が紹介しそうな本だなあとか、この人がこんな本を紹介するとは意外だなとか思いながら読むのも楽しい。
ラストに上野千鶴子さんを持ってくるとはさすがです。「聖書」がくるとは思いもよらなかったが、そういえばかつて自分はプロテスタントの大学に通っていたのだった…学び直すという意味も込めて、今一度、聖書を読んでみるのも新たな発見があるかもしれないと思っている。
「読む体力」は今からでも鍛え直せるかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ブックガイド・書店関連本
感想投稿日 : 2013年9月9日
読了日 : 2013年9月11日
本棚登録日 : 2013年8月27日

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