ふたりの花見弁当 食堂のおばちゃん(4) (ハルキ文庫 や 11-5)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2018年8月9日発売)
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感想 : 83
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過去の自分の思い出は音楽や書籍とともにあるように、食事や飲み物もともにその時代を彩る。

ローストビーフってお弁当に入れるものではない。我が家では一度だけ入っていたことがある。姉妹は弁当を開けてすぐに蓋をしたが、私は完食した。そして夕方救急車で運ばれた。夏の日の出来事だった。一子や二三と違って、我が家の母は大雑把でその血をみんな引き継いでいる。

複雑なメイの気持ちとそれを弄ぶヤツ、メイにとっては大きな良い経験だと割り切ってほしいと思った。
不倫はそれぞれが幸せになることができるのだろうか?一子の「老いるのではなく大人になりなさい」という説得の仕方が、きっと相手に響く言葉なんだろう。

花見は三原さんのマンションで、桜の花の天幕のあるマンションってステキだなぁ。そしてその美しさに負けないほどの三原さんの思い出に、儚く寂しさを感じた。

今回は1月から5月の季節の物語5話だった。はじめ食堂に集う人たちの温かく、思いやりのある言動がなんとも心地よく目の中に飛び込んできた。
要や万里の成長も美しい文章で描かれている。人もお店も時間とともに変化していくものだ。季節の移り変わりだけでなく、時代の流れも上手く表現された作品だった。
今回もほわほわさせられた。私の時の思い出とともに。山口恵以子さんに感謝だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 山口恵以子
感想投稿日 : 2024年3月22日
読了日 : 2024年3月22日
本棚登録日 : 2024年3月21日

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